上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|小川将克教授のワイヤレスセンシング・IoT研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の小川将克教授と、ワイヤレスセンシング・IoTの研究」です。

自宅や学校、カフェなど、今ではさまざまな場所で使われているWi-Fi。多くの人にとっては「スマートフォンやパソコンをインターネットにつなぐもの」でしょう。しかし、その電波を人や物の状態を調べる「センサー」として利用する研究があります。

身近な無線通信技術から新しい情報を取り出そうとしているのが、小川将克教授です。


小川将克教授はどんな研究者?

小川将克教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、ワイヤレスセンシング、スマートIoTシステム、無線通信システム、ネットワークシステムなどを研究しています。

上智大学で博士(工学)の学位を取得し、日本電信電話株式会社アクセスサービスシステム研究所、東日本電信電話株式会社技術協力センタでの勤務を経て、2011年に上智大学 理工学部 情報理工学科に着任しました。

研究キーワードには、ワイヤレスセンシング、無線LAN、移動通信などがあります。私たちの生活を支える通信技術を研究するだけでなく、電波から新しい情報を読み取る技術へ発展させていることが特徴です。


Wi-Fiの電波で人の動きが分かる?

Wi-Fiの電波は、アクセスポイントから端末まで何もない空間を一直線に進んでいるわけではありません。壁や家具、人などに当たり、反射や回折などをしながら伝わっています。

そのため、人が歩いたり姿勢を変えたりすると、電波の伝わり方にも変化が生じます。

小川教授の研究では、この変化を分析することで、人の行動や状態を推定する「ワイヤレスセンシング」に取り組んでいます。

つまり、Wi-Fiを「情報を送るための電波」として利用するだけでなく、その電波がどのように変化したのかを観測し、周囲の状況を知るための情報として利用するのです。

普段目には見えない電波から人の状態を読み取るという、情報通信とセンシングを組み合わせた研究です。


カメラを使わずに人の行動を推定する

小川教授の研究では、無線LANの電波情報を利用して、人の位置や行動などを推定する技術が研究されています。

上智大学の研究紹介では、Wi-FiのCSIと呼ばれる情報を利用した行動認識が紹介されています。CSIは、簡単にいえば、送信した無線信号が空間を通る間にどのような影響を受けたのかを詳しく表す情報です。

人が歩く、座る、倒れるなどの動きをすると、CSIにも特徴的な変化が現れます。そのデータとAI・機械学習を組み合わせることで、人の行動を推定する研究が進められています。

カメラとは異なり、人の姿そのものを映像として撮影しないことは、ワイヤレスセンシングを考えるうえで特徴の一つです。ただし、電波を利用すれば自動的にあらゆるプライバシー問題が解決するわけではありません。どのような情報を取得し、どう利用するのかという視点も重要になります。


人の位置や骨格、呼吸も研究対象に

ワイヤレスセンシングの研究は、「人がいるかどうか」を調べるだけにとどまりません。

小川教授らは、Wi-Fiの電波情報と深層学習を組み合わせ、人の位置や動作を推定する研究を進めています。研究テーマには、人体の骨格情報の推定や呼吸の推定なども含まれています。

人間が呼吸すると、胸部などに小さな動きが生じます。こうした微細な動きによって生まれる電波の変化を捉えようという研究です。

一方で、実際の環境には家具や壁があり、人の体格や動きも異なります。研究室で得られた結果をさまざまな環境へ広げるには、多くの技術的な課題があります。

「Wi-Fiだけで何でも正確に分かる」と考えるのではなく、どのような条件なら何を推定できるのかを検証していくことも研究の重要な部分です。


見守りなどへの応用可能性

ワイヤレスセンシングは、人の状態を非接触で推定できることから、見守りなどへの活用も研究されています。

たとえば、人が転倒した可能性を電波の変化から捉えることができれば、映像を常時撮影する方法とは異なる見守り技術につながる可能性があります。

また、Wi-Fiはすでに多くの住宅や施設で利用されている身近な通信技術です。既存の無線通信環境をセンシングにも活用するという発想は、IoTの新しい可能性を考えるうえでも興味深いものです。

ただし、医療診断や安全確認への利用には、精度、利用環境、データの扱いなどさまざまな検討が必要です。研究成果をそのまま医療機器や見守りサービスとして利用できるという意味ではありません。


「通信」と「センシング」がつながる面白さ

小川教授の研究の面白いところは、一つの電波に複数の役割を持たせようとしている点です。

これまでWi-Fiは主に、端末同士でデータをやり取りする通信技術として利用されてきました。しかし、電波には周囲の環境によって変化するという性質があります。

そこで、その変化そのものを「データ」として捉えれば、通信に使っていた電波から周囲の情報を読み取ることができます。

これは情報理工学で重要な、「身の回りの現象をどのように情報として表現し、コンピュータで処理するのか」という考え方にもつながります。


高校の物理・数学・情報とどうつながる?

ワイヤレスセンシングには、高校で学ぶ物理、数学、情報が関係しています。

物理では、波、周波数、電磁波などの考え方が無線通信を理解する基礎になります。数学は、電波から得られた大量のデータを数値として分析するために必要です。

さらに高校の「情報」で学ぶネットワーク、データ活用、プログラミングなどは、大学では無線通信やAI・機械学習を利用したデータ解析へと発展していきます。

たとえば、「Wi-Fiが部屋によってつながりにくくなるのはなぜだろう」という日常的な疑問も、電波の反射や遮蔽、伝搬について考える入口になります。

高校で学んでいる一つひとつの知識が、大学では組み合わされ、新しい技術を考えるための道具になっていくのです。


推薦入試では「Wi-Fiが好き」から一歩先へ

推薦入試を考えるとき、「IoTに興味があります」「通信技術を学びたいです」だけで終わらず、自分が何を疑問に感じているのかまで考えてみましょう。

たとえば、「なぜ壁があるとWi-Fiが弱くなるのだろう」「電波から人の動きが分かるのはなぜだろう」「カメラを使わずに人の状態を知る方法にはどのような特徴があるのだろう」「通信に使っている電波を別の目的にも利用できないだろうか」といった問いがあります。

自宅のWi-Fi、スマート家電、スマートフォンなど、普段何気なく使っている技術から疑問を見つけることもできます。

小川将克教授の研究を調べると、「通信するための電波」という当たり前の見方を変えることで、新しい研究テーマが生まれることが分かります。

身近な技術に対して「ほかの使い方はできないだろうか」と考えてみることも、上智大学 理工学部 情報理工学科で学ぶための一つの入口になるでしょう。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。