上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|藤原誠教授の植物オルガネラ研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の藤原誠教授と、植物細胞の中にある色素体の形態・分裂を探る研究」です。

高校の生物で葉緑体を観察した経験がある人もいるでしょう。緑色の小さな粒として見える葉緑体ですが、実は植物の成長や組織、周囲の環境などに応じて、その姿や働きは変化しています。藤原教授は、こうした植物細胞の中で起こる変化を顕微鏡観察や分子遺伝学などの方法によって研究しています。


藤原誠教授はどのような研究者?

藤原誠教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属する植物科学の研究者です。上智大学の公式情報では、研究分野は「植物オルガネラの形態・分裂に関する分子細胞生物学的研究」と紹介されています。

藤原教授は東京大学で学士、修士、博士(農学)の学位を取得しています。研究キーワードには「色素体(プラスチド)」「ストロミュール」「異型細胞」「植物科学」などが挙げられています。

現在の藤原研究室では、葉緑体、白色体、原色素体などの「色素体」が、植物の一生の中でどのように姿や機能を変えるのかという問いに取り組んでいます。植物の生命現象を、植物全体だけではなく「一つの細胞、その中にある小さな構造」まで掘り下げて考える研究です。


葉緑体も「色素体」の一つ

研究を理解するうえで重要なのが「色素体(プラスチド)」です。色素体とは、植物細胞に特徴的な細胞小器官の一群で、よく知られている葉緑体もその一つです。

葉緑体というと「光合成をする場所」と覚えている人が多いと思います。しかし、植物の細胞には葉緑体だけが存在するわけではありません。組織や役割に応じて、白色体やデンプンを蓄えるアミロプラストなど、異なる性質を持った色素体があります。

上智大学の研究室紹介によると、藤原研究室では、色素体が植物組織や外界の環境に応じて構造や機能を変えることに注目し、その形態や分化を研究しています。

高校では「細胞小器官の名称と役割」を覚えることが中心になりがちですが、大学では「なぜこの組織ではこの形になるのか」「どの遺伝子が増殖を制御しているのか」といった問いへ発展していきます。


シロイヌナズナを使って色素体の謎を調べる

藤原研究室で用いられている植物の一つが、シロイヌナズナです。シロイヌナズナは植物科学の研究で広く利用されているモデル植物で、藤原研究室ではさまざまな変異体や形質転換体を扱う分子遺伝学的手法、遺伝子発現を調べる分子生物学的手法、顕微鏡による観察などを組み合わせています。

現在の研究例として公式サイトで紹介されているのが、「孔辺細胞における葉緑体の分化・増殖の解析」です。孔辺細胞とは、葉の表面にある「気孔」をつくる細胞です。気孔は二酸化炭素の取り込みや水分の放出などに関係しています。

葉の内部にある葉肉細胞と、表面にある孔辺細胞では、同じ植物の細胞でも葉緑体の数や性質が同じとは限りません。藤原教授は、こうした組織ごとの違いにも注目しながら、葉緑体の形成や増殖がどのように制御されているのかを研究しています。


オオカナダモからも研究テーマが生まれる

藤原研究室では、オオカナダモの「異型細胞形成」についても研究しています。オオカナダモは、高校や中学校の理科で顕微鏡観察に使ったことがある人もいるかもしれません。

上智大学の公式研究室紹介によると、オオカナダモの葉には、周囲とは異なり葉緑体を持たない無色の「異型細胞」が形成されます。藤原研究室では、その形成過程を調べています。

ここには、理工学の研究を考えるうえで大切なヒントがあります。研究テーマは、必ずしも遠い世界にあるものではありません。学校の実験で見た植物でも、「なぜこの細胞だけ違うのだろう?」と疑問を持てば、そこから研究につながる可能性があります。


ストロミュールから分かってきた新しい現象

藤原教授の研究キーワードの一つに「ストロミュール」があります。ストロミュールとは、色素体から伸びる細い管状の構造です。その機能には未解明な部分があり、植物細胞生物学の研究対象となっています。

藤原教授らの研究グループは、シロイヌナズナを用いた研究から、デンプンを合成・貯蔵するアミロプラストの増殖にストロミュールが関わる新しい経路を示しました。この成果は上智大学からも2025年に発表されています。

大切なのは、「ストロミュールにはこの役割しかない」と単純に理解しないことです。科学研究では、観察された現象から仮説を立て、実験を重ねながら機能を明らかにしていきます。まだ分かっていないことがあるからこそ、新しい研究が生まれます。


高校生物の「観察」から大学の研究へ

藤原教授の研究は、高校で学ぶ細胞、葉緑体、光合成、遺伝子などの知識とつながっています。しかし、大学では知識を覚えるだけでなく、実際の植物を観察し、予想と異なる現象を見つけ、その理由を検証していきます。

たとえば顕微鏡観察をしたとき、「葉緑体が見えた」で終わるのではなく、「なぜ細胞によって葉緑体の数が違うのか」「葉以外の組織では色素体はどうなっているのか」「成長すると数や形は変わるのか」と問いを増やしてみましょう。

藤原研究室でも、蛍光顕微鏡による生きた植物組織の観察やDNAの抽出・精製などが行われています。観察した現象を分子や遺伝子のレベルまで掘り下げていくことが、大学での生命科学の学びにつながります。


推薦入試に向けて研究内容をどう考える?

推薦入試を考えている高校生が藤原教授の研究を調べるときは、「植物が好きだから研究したい」だけで終わらせず、自分がどのような生命現象に疑問を感じているのかまで考えてみましょう。

たとえば、「授業で葉緑体を観察したことをきっかけに、同じ植物でも細胞によって葉緑体の形や数が違う理由に興味を持った」「植物が環境の変化に対応するとき、細胞の内部では何が起きているのか知りたい」と掘り下げると、自分の経験と大学での学びの接点が具体的になります。

研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。むしろ、自分が何に疑問を感じ、その疑問について何を調べ、そこからどのような新しい問いが生まれたのかを整理してみることが大切です。


身近な植物の「なぜ?」を大切にしよう

藤原誠教授の研究を見ていくと、教科書では「葉緑体」「細胞小器官」と一言で説明されるものにも、まだ分かっていない現象が数多く残されていることが分かります。

上智大学 理工学部 物質生命理工学科に興味がある人は、「生物が得意だから」という理由だけでなく、自分が生命のどのような仕組みに面白さを感じるのかを考えてみてください。学校で行った顕微鏡観察、家の近くにある植物、授業で習った光合成など、身近なところにも研究への入口があります。

「なぜこの形なのだろう」「同じ植物なのになぜ違うのだろう」と疑問を持ち、その答えを調べていくことから、大学で学びたいことが少しずつ見えてくるかもしれません。自分の興味と上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びを、ぜひ一度つなげて考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。