
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|大坪瑶子准教授の細胞の環境適応研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の大坪瑶子准教授と、細胞が環境変化やストレスに適応する仕組みの研究」です。
気温や栄養状態など、周囲の環境は常に一定ではありません。それでも生物は、さまざまな変化に対応しながら生きています。では、一つひとつの細胞は、環境の変化をどのように感じ取り、どのような反応を起こしているのでしょうか。大坪瑶子准教授は、こうした「細胞の環境適応機構」を研究しています。
大坪瑶子准教授の研究テーマ

大坪准教授は、2026年4月から上智大学 理工学部 物質生命理工学科の准教授を務めています。上智大学理工学部の公式情報では、主な研究テーマとして「細胞の環境適応機構」が掲げられています。研究キーワードは、分裂酵母、ストレス応答、TORキナーゼ、プラズマバイオロジー、有性生殖です。
研究では、酵母の一種である「分裂酵母」をモデル生物として利用しています。モデル生物とは、生命現象の基本的な仕組みを研究するために広く使われている生物のことです。比較的扱いやすい生物を詳しく調べることで、細胞が持つ基本的な仕組みを理解する手がかりを得ることができます。
大坪准教授の研究室では、分裂酵母を使い、細胞が環境の変化やストレスにどのように応答し、適応しながら生き延びているのかを明らかにすることを目指しています。
TORキナーゼから細胞のストレス応答を調べる
大坪准教授が取り組む研究の一つが、TORキナーゼを中心としたストレス応答のシグナル伝達経路の解明です。
「シグナル伝達」とは、細胞が外部や内部の変化を感じ取り、その情報を細胞内へ伝えて反応を起こす仕組みです。私たちが周囲の状況を見て行動を変えるように、細胞にも環境の変化を受け取り、それに応じて活動を変える仕組みがあります。
その中でTORキナーゼは、細胞の成長や代謝などに関係する重要な分子です。細胞が置かれている環境に応じて、成長を続けるのか、活動の仕方を変えるのかといった調節に関係します。
高校の生物で学ぶ「細胞」「酵素」「代謝」「遺伝子」などの知識も、大学ではこうした細胞内の複雑なネットワークを理解する学問へと発展していきます。
プラズマと生命科学を組み合わせた研究も

もう一つの特徴的なテーマが、常温大気圧プラズマを利用した複合ストレスへの応答機構の研究です。上智大学公式サイトでも、大坪准教授の研究室が取り組む主要テーマの一つとして紹介されています。
プラズマは、固体・液体・気体とは異なる状態として知られています。生命科学とは一見離れているように感じますが、プラズマを生物や細胞に作用させ、その反応を調べる「プラズマバイオロジー」という研究分野があります。
大坪准教授は、2018年から2023年まで核融合科学研究所で特任助教を務めており、生命科学とプラズマ科学が交わる研究環境でも経験を積んできました。
異なる分野の考え方や技術を組み合わせることで、それまでとは違う角度から生命現象を調べられる点は、理工学の面白さの一つです。
複数の研究機関で生命科学を研究
大坪准教授は東京大学で博士(理学)の学位を取得しています。その後、かずさDNA研究所の特任研究員、日本学術振興会特別研究員、核融合科学研究所の特任助教、東京大学生命科学ネットワークの特任助教などを経て、2026年4月に上智大学 理工学部 物質生命理工学科へ着任しました。
生命科学を中心としながら、異なる特徴を持つ研究機関で研究してきた経歴からも、現代の科学研究が一つの専門分野だけで完結するものではないことが分かります。
高校では、生物、化学、物理を別々の授業として学ぶことが多いですが、大学では研究したい現象に応じて複数の分野の知識や技術を組み合わせることがあります。
物質生命理工学科の学びとのつながり
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学などの専門性を重視しながら、それらを融合した「複合知」の修得を目指しています。1年次に基礎を学び、2年次以降は物質生命理工学の専門的な講義や実験・演習へと進んでいくカリキュラムです。
大坪准教授の研究は、その中でも生命現象を分子や細胞のレベルから考える研究の一例です。単に「生物を観察する」のではなく、環境が変化したときに細胞内の分子がどう動き、その結果として細胞全体の行動がどう変わるのかを実験によって探っていきます。
物質生命理工学科では、2026年度の科目として「生物科学実験Ⅰ」なども設けられており、大坪准教授も担当教員として掲載されています。
高校で学んだ生物の知識を、実際に実験をしながら確かめ、さらに未知の仕組みを探究していくところに、大学で生命科学を学ぶ面白さがあります。
高校の生物から研究の問いを広げてみよう
大坪准教授の研究に興味を持った高校生は、身近な環境変化から問いを考えてみるとよいでしょう。
たとえば、「栄養が少なくなったとき、細胞はなぜすぐに死なないのだろう」「温度などの環境が変わると、生物の細胞では何が起きるのだろう」「細胞は外からの刺激をどのように感知しているのだろう」といった疑問です。
高校の授業で学んだことから疑問が生まれたら、その疑問について本や論文の解説記事などを調べてみることで、大学で学びたいことが少しずつ具体的になります。
生物が得意だから物質生命理工学科に向いている、と単純に考える必要はありません。「なぜこの現象が起こるのだろう」と疑問を持ち、自分なりに調べて考える過程が、大学での探究につながります。
推薦入試に向けて自分の興味を深める

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている場合、「生命科学に興味があります」という説明だけでなく、自分が具体的にどのような生命現象に興味を持っているのかまで整理してみましょう。
たとえば「細胞のストレス応答に興味がある」なら、どんな授業や経験から興味を持ったのか、何を調べたのか、その結果どのような新しい疑問が生まれたのかを考えてみます。
そのうえで、大坪准教授をはじめとする教員の研究テーマを調べると、自分の関心と上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びがどこでつながるのかを考えやすくなります。
私たちの体をつくる細胞も、絶えず変化する環境の中で生きています。その仕組みを分子レベルから調べていく研究を知ることで、高校で学んでいる生物の先にどのような世界が広がっているのか、ぜひ考えてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


