上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 サリ・アガスティン教授とは?エスニック政治学・南アジア地域研究から紛争と共生を考える

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「サリ・アガスティン教授の研究と、総合グローバル学科で学べるエスニック政治学・南アジア地域研究について」です。

上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科で、インドを中心とした南アジアの政治や社会について研究しているのがサリ・アガスティン教授です。現在は総合グローバル学部総合グローバル学科の教授で、専門はエスニック政治学、南アジア地域研究です。特に、インドで発生するコミュナル紛争を研究し、人々の間でなぜ対立や暴力が生まれるのかを考えています。


サリ・アガスティン教授は何を研究している?

アガスティン教授が研究している重要なテーマの一つが、インドにおけるヒンドゥー教徒とムスリムの間のコミュナル紛争です。コミュナル紛争とは、宗教などの集団的なアイデンティティを背景として、地域社会の中で起こる対立を指します。

表面的には宗教の違いによる争いのように見えることがあります。しかし教授の研究では、文化や伝統、信仰だけでなく、経済格差など、目に見えにくい社会の分断も暴力の背景にあることが示されています。

つまり「宗教が違うから争う」と単純に説明するのではなく、対立が生まれる地域の状況や人々の関係、社会構造などを複数の角度から考える必要があるのです。


なぜ普通に暮らしていた人々の間で暴動が起こるのか

アガスティン教授が注目しているのは、普段は同じ地域で生活している人々の間でも、ある出来事をきっかけとして対立が急激に拡大することがある点です。

教授はインドの暴動について現地で聞き取り調査を行い、さらに他国の事例とも比較しながら、暴動が広がっていく過程を研究してきました。公式の研究紹介では、きっかけとなる事件が発生し、うわさが広がり、同じアイデンティティを持つ人々の結束が強まり、報復が重なることで暴力が激しくなるという流れが紹介されています。

ここで重要なのは、一つの事件だけを見て原因を決めつけないことです。なぜその情報が広がったのか、なぜ人々が集団として行動したのか、行政や政府はどのように対応したのかなど、さまざまな要素を見ることで紛争の構造が見えてきます。


宗教だけでなく政治学や心理学などから暴力を考える

アガスティン教授は、コミュナル紛争を政治学だけで分析しているわけではありません。心理学、哲学、宗教などの知識も取り入れながら、人々がなぜ集団的な暴力に参加するのかを考えています。

同じ出来事でも、個人として考えているときと、集団の一員として行動するときでは判断が変化する場合があります。また、過去の対立の記憶や差別、経済的不満などが重なることもあります。

一つの社会問題を一つの学問だけで説明するのではなく、複数の視点を組み合わせて考えるところに、総合グローバル学科で学ぶ面白さがあります。


インドという地域を深く知ることが世界の問題につながる

アガスティン教授はインド出身で、インドでは政治学と哲学を学び、その後、上智大学で神学や地域研究を学びました。大学院では地域研究を専攻し、エスニック政治学について研究を深めています。

インドは、多様な宗教、言語、文化を持つ人々が暮らす社会です。しかし「インドは多様な国」と知るだけでは地域研究とはいえません。その多様性が政治や社会の中でどのように現れ、人々の生活にどのような影響を与えているのかまで具体的に調べることが重要です。

一つの地域を詳しく研究することによって、民族、宗教、格差、暴力、共生といった世界各地にも関係する問題を考えられるようになります。


高校生ならSNSやニュースからも考えられる

コミュナル紛争は遠い国の出来事に感じるかもしれません。しかし、アガスティン教授の研究テーマから考えると、高校生の身近なところにも問いの入口があります。

例えば、SNSで事実かどうか分からない情報が急速に広がり、多くの人が特定の集団を批判している場面を見たことはないでしょうか。「なぜ人は確認していない情報を信じてしまうのだろう」「集団に対する偏見はどのように広がるのだろう」「対立を大きくしないためには何が必要なのだろう」といった問いにつなげることができます。

海外で起きた宗教対立のニュースについても、「宗教が原因だ」と結論づける前に、その地域の歴史、政治、経済状況などを調べてみると、最初とは違った見え方がしてくるでしょう。


暴力は紛争地域だけの問題ではない

アガスティン教授は、暴力について考える対象を武力紛争だけに限定していません。公式の研究紹介では、家庭内暴力やハラスメント、ヘイトスピーチ、貧困や格差、差別などにも触れ、社会の中に存在するさまざまな形の暴力について考えています。

この視点に立つと、「平和」とは単に戦争がない状態なのかという問いも生まれます。戦争が起きていなくても、差別や極端な格差によって苦しんでいる人がいる社会をどのように考えるのか。こうした疑問も、平和や共生について学ぶ重要な入口になります。


総合グローバル学科のアジア研究とどうつながる?

アガスティン教授は、総合グローバル学部のアジア研究領域を担当しています。南アジアという具体的な地域を深く研究しながら、民族、宗教、政治、暴力、共生といった世界規模のテーマまで考えていくことができます。

総合グローバル学科の学びは、外国について広く知識を増やすことだけではありません。「なぜこの社会ではこの問題が起きているのか」と地域の具体的な背景を調べ、その問題をより大きな世界の動きと結びつけて考えることが大切です。

南アジア、インド、宗教、民族、紛争、人権、多文化共生などに関心がある高校生にとって、アガスティン教授の研究は多くの問いにつながるでしょう。


推薦入試では自分の問いを深めるきっかけにしよう

推薦入試を考えている場合も、アガスティン教授が研究しているからという理由だけで、インドや宗教紛争を自分のテーマにする必要はありません。

教授の研究を知ることは、「自分が関心を持っている問題を大学ではどのように研究できるのか」を考えるための一つのきっかけです。例えば、多文化共生に興味があるなら、単に「みんなが仲良くすることが大切」とまとめるのではなく、なぜ対立が生まれるのか、制度や格差はどう関係するのか、情報はどのように人々の行動へ影響するのかまで調べてみることができます。

調べる中で最初の考えが変わっても問題ありません。むしろ、異なる資料や立場に触れながら自分の問いを深めていくことが、大学での学びにつながっていきます。


サリ・アガスティン教授の研究から紛争と共生を考えてみよう

サリ・アガスティン教授の研究を知ると、紛争や暴力は単純に宗教や民族の違いだけから起こるものではなく、歴史、社会、経済、人々の心理など、さまざまな要素が重なっていることが見えてきます。

ニュースで対立や暴動を知ったときにも、「なぜ争っているのだろう」で終わらず、その背景には何があるのか、対立を防ぐ方法はあるのかまで考えてみてください。そこから、自分が総合グローバル学科で研究してみたい社会問題や地域が見つかるかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。