
上智大学 経済学部 経済学科|釜賀浩平教授に学ぶ「社会的選択理論」とみんなの意見をまとめる仕組み
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・釜賀浩平教授の研究から考える、社会的選択理論とみんなの意見をまとめる仕組み」です。
クラスで文化祭の企画を決めるとき、生徒会で学校への提案をまとめるとき、私たちは複数の人の意見から一つの結論を出さなければならないことがあります。そこでよく使われるのが多数決です。しかし、「一番多くの人が選んだ案なら、本当に公平なのだろうか」と考えたことはありませんか。
上智大学経済学部経済学科の釜賀浩平教授は、社会的選択理論、厚生経済学、公共経済学を研究しています。上智大学の最新公式情報でも、釜賀教授は経済学部経済学科の教授として掲載されています。担当科目には、ミクロ経済学C、応用ゲーム理論、GAME THEORY、ミクロ経済学特講IVなどがあります。
社会的選択理論とは何を考える学問?
社会的選択理論とは、一人ひとりが異なる希望や価値観を持っているとき、それらをどのようにまとめて社会全体の意思決定につなげるのかを考える分野です。釜賀教授の公式な研究キーワードにも、社会的選択理論、厚生経済学、公共経済学が挙げられています。
例えば、クラス旅行の行き先としてA、B、Cの3案があるとします。一番人気の案を多数決で選ぶ方法もありますが、投票方法によって結果が変わる可能性があります。また、「第一希望ではないけれど、絶対に避けたい場所でもない」という人の気持ちを、多数決だけで十分に表せるでしょうか。
社会全体では、選挙や公共政策など、さらに多くの人の意見をまとめなければなりません。誰か一人の希望だけを優先することもできませんし、全員が完全に納得する結論を毎回つくれるとも限りません。
そこで、「どのような意思決定の仕組みなら納得できるのか」「公平なルールにはどのような条件が必要なのか」を論理的、数理的に考えていくのが社会的選択理論です。
多数決は本当にいつでも公平なのか
多数決は身近で分かりやすい仕組みです。しかし、社会的選択理論では、その仕組み自体も分析の対象になります。
例えば10人のクラスで、6人がA案、4人がB案を選んだとします。A案を採用すれば多数派の希望は実現しますが、B案を選んだ4人が非常に強く反対している場合、それでもA案が最も望ましいと言えるでしょうか。
また、選択肢が三つ以上になると、誰と誰を比較するか、どの順番で投票するかによって結果の見え方が変わることもあります。
ここで大切なのは、「多数決は良くない」と決めつけることではありません。どのような方法にも特徴や限界があることを理解し、「何を大切にする意思決定なのか」と問い直すことです。
厚生経済学では「社会にとって望ましい状態」を考える
釜賀教授の研究分野には「厚生経済学」も含まれています。厚生経済学は、人々の暮らしや満足度などを考えながら、社会にとってより望ましい状態とは何かを分析する分野です。
例えば、ある政策によって100人の生活が少し便利になる一方で、10人には大きな負担が発生するとします。その政策を「社会全体にとって良い」と判断してよいでしょうか。
単純に得をする人数と損をする人数だけを比べればよいとも限りません。誰がどの程度利益を得るのか、どの程度負担するのかという視点も必要です。
貧困対策、社会保障、教育政策などを考える場合にも、「社会全体の豊かさ」と「一人ひとりの公平さ」をどう両立するかという問題が生まれます。経済学では、こうした価値判断を感覚だけで済ませず、前提を整理しながら論理的に考えていきます。
公共経済学は税金や公共サービスにもつながる
公共経済学も、釜賀教授の研究分野の一つです。公共経済学では、政府の役割、税金、社会保障、公共サービスなど、市場だけでは解決しにくい問題について経済学の視点から考えます。
例えば、公園や図書館、学校、道路など、多くの人が利用するものには費用がかかります。その費用を誰がどのように負担するのか、どこにどれくらい予算を使うのかという問題があります。
学校生活でも似た場面があります。文化祭の予算が限られていて、すべてのクラスの希望をかなえられない場合、どのように分ければ公平でしょうか。全クラスに同じ金額を配る方法もあれば、企画内容や必要性を考えて配分する方法もあります。
「全員を同じように扱うこと」と「必要に応じて違う扱いをすること」のどちらが公平なのか。一見簡単そうな問題にも、考えるべきことがたくさんあります。
高校までの数学と大学の経済学はどうつながる?
釜賀教授が担当する科目にはミクロ経済学やゲーム理論に関する科目があり、大学では数学的な考え方を使って人々や社会の意思決定を分析します。
高校の数学では、与えられた条件から一つの答えを求める問題が多いでしょう。一方、大学の経済学では、「社会の問題をどのような条件として表せばよいのか」というところから考えることがあります。
例えば「公平な投票制度とは何か」という問いについても、まず公平とはどのような状態なのかを定義しなければなりません。そして、その条件をすべて満たす仕組みが存在するのかを論理的に検討していきます。
数式を覚えることだけが目的ではなく、複雑な社会の問題から重要な条件を取り出し、筋道を立てて考えるために数学を活用する点が大学での経済学の特徴です。
生徒会やクラス活動の経験も問いの出発点になる
上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、最初から社会的選択理論の専門知識を持っている必要はありません。
例えば、生徒会で複数の意見をまとめるのに苦労した経験、文化祭の企画を多数決で決めたものの一部の人が納得していなかった経験、部活動のルールを変える際に意見が分かれた経験などを振り返ってみましょう。
そこから、「多数派の意見を採用することはいつでも公平なのか」「少数派の意見をどこまで考慮するべきなのか」「全員が納得できない場合、何を基準に決めればよいのか」と問いを広げられます。
重要なのは、「私はこう思った」で終わらないことです。反対した人はなぜそう考えたのか、別の決め方なら結果はどうなったのかと、多面的に考えてみてください。対話を通して自分とは違う価値観を知ることも、問いを深める材料になります。
推薦入試に向けて「公平とは何か」を自分の言葉で考えよう
出願書類や面接で問われる志望理由について考える際にも、「経済学に興味があります」だけでは、自分の関心は十分に伝わりません。
「クラスで多数決をしたときに疑問を感じた」「ニュースで政策をめぐる意見の対立を見て、社会は何を基準に決定しているのか気になった」といった具体的な経験から始めてみるとよいでしょう。
そして、「なぜその問題を経済学から考えたいのか」「自分の最初の考えとは違う立場にはどのようなものがあるか」「大学で何をさらに知りたいのか」と一段ずつ掘り下げてみてください。
推薦入試は、社会の難しい問題に対して最初から完璧な答えを持っている人だけが考えるものではありません。自分なりの疑問を持ち、調べたり、他者の考えを聞いたりしながら、自分の考えを深めていくことが大切です。
「みんなが納得できる決め方」はあるのか考えてみよう
私たちは日常生活の中で、何度も「みんなで決める」という場面に出会います。しかし、人数が増え、価値観が多様になるほど、全員の希望をそのまま一つの結論にすることは難しくなります。
だからこそ、「多数決だから公平」とすぐに決めるのではなく、「このルールでは誰の意見が反映されやすいのか」「別の決め方ならどうなるのか」と考えてみることに意味があります。
社会的選択理論は、私たちが普段当たり前に使っている意思決定の仕組みを、数学や経済学によって改めて問い直す学問です。次にクラスや部活動で何かを決める機会があったら、結果だけでなく「どのように決めたのか」にも目を向けてみてください。
その小さな疑問から、社会的選択理論、厚生経済学、公共経済学という学問への興味が広がっていくかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。

