自己推薦書を書き始めるとき、最初の一文で手が止まってしまう人は少なくありません。
「どこから書けばいいのか分からない」「無難に始めたほうがいいのでは」と悩むのは自然なことです。
しかし、自己推薦書の書き出し(導入)は、読み手に「どのような関心や問題意識を持っている人物なのか」を伝える大切な入口です。ここで伝わる印象は、その後の内容の受け止め方にも影響します。
今回は、書き出しが重要な理由と、読み手に伝わる導入の作り方を解説します。
導入は「結論」ではなく「関心の入口」
自己推薦書の冒頭でよく見られるのが、次のような始め方です。
私は貴学で○○を学びたいと考えています。
間違いではありませんが、これだけではなぜそう思ったのかが伝わりにくく、読み手の印象に残りにくい場合があります。
上智大学の推薦入試では、志望理由の正しさよりも、
・どのような経験から関心が生まれたのか
・何に疑問を持ち、考えてきたのか
・どのように社会や他者と関わろうとしているのか
といった思考の背景が重視されます。
導入は、その入口となる部分です。
なぜ書き出しで印象が変わるのか
① 問題意識が伝わる
最初の一文で関心の方向が見えると、読み手はその後の内容を理解しやすくなります。
② 思考の深さが伝わる
経験や疑問から始まる文章は、「自分で考えてきた過程」が自然に伝わります。
③ 読み手との対話が生まれる
導入が具体的であるほど、読み手は「なぜそう感じたのだろう」と関心を持って読み進めることができます。
読み手に伝わる導入の作り方
方法①:経験から始める
例
中学時代、地域の清掃活動に参加した際、高齢の方がごみ出しに苦労している姿を見たことが、私の地域福祉への関心の原点です。
✔ 実体験から関心の出発点が伝わる
✔ 志望理由につながる流れが自然
方法②:疑問から始める
例
なぜ同じ地域に住んでいても、支援を受けられる人と受けられない人がいるのだろう――この疑問を抱いたことが、私が社会制度に関心を持つきっかけでした。
✔ 思考の出発点が見える
✔ 問題意識が明確になる
方法③:気づきから始める
例
留学生との交流活動を通して、「言葉が通じること」と「理解し合えること」は別のものだと気づきました。
✔ 他者理解への視点が伝わる
✔ 上智大学が重視する価値観と自然に重なる
避けたい導入の特徴
次のような書き出しは、内容が見えにくくなる場合があります。
❌ 抽象的すぎる
私は昔から人の役に立ちたいと考えてきました。
→ 具体性がなく、背景が伝わらない
❌ 結論だけ述べる
貴学の理念に共感し志望しました。
→ なぜ共感したのかが分からない
❌ 大きすぎるテーマから始める
現代社会には多くの問題があります。
→ 自分との関係が見えない
導入を考えるためのヒント
書き出しに迷ったら、次の問いを考えてみてください。
・最初に関心を持ったきっかけは?
・強く印象に残っている出来事は?
・疑問に思った経験は?
・自分の考えが変わった瞬間は?
これらは、そのまま導入の材料になります。
導入から本文へのつなげ方
良い導入は、次の流れにつながります。
① 経験・疑問・気づき
② そこから考えたこと
③ 学びたい内容・関心分野
④ 上智大学で学ぶ理由
この流れが自然につながると、文章全体の理解しやすさが高まります。
まとめ
自己推薦書の書き出しは、読み手に自分の関心や思考の出発点を伝える大切な部分です。
導入では、
✔ 経験や疑問から始める
✔ 問題意識の背景を示す
✔ 自分の関心の入口を伝える
ことを意識してみてください。
最初の一文が変わるだけで、文章全体の伝わり方は大きく変わります。
もし一人で考える中で難しさを感じたら、無料個別相談を活用するという方法もあります。第三者と対話することで、自分の関心の出発点がより明確になることも少なくありません。
次回は、具体例を入れることで説得力が高まる理由について解説します。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


