上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|川口眞理教授のタツノオトシゴ・進化研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の川口眞理教授と、タツノオトシゴなどの魚類の進化研究」です。

タツノオトシゴは、オスが「育児嚢」と呼ばれる袋の中で卵を育て、子どもを産むことで知られています。なぜ、このようなユニークな繁殖の仕組みが生まれたのでしょうか。川口眞理教授は、タツノオトシゴなどの魚類を研究対象として、生物の多様性や環境への適応がどのように進化してきたのかを研究しています。


川口眞理教授の専門は魚類の分子進化

川口教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の教授です。主な研究テーマは「タツノオトシゴなどの魚類の多様性進化と環境適応進化」で、研究分野は分子進化です。研究キーワードとして、育児嚢、ヨウジウオ・タツノオトシゴ、孵化などが挙げられています。

分子進化とは、生物の形や性質の変化を、遺伝子やタンパク質などの分子レベルから考える研究分野です。「生物の姿が進化したとき、遺伝子にはどのような変化が起きていたのか」という問いに迫ります。

高校の生物では進化や遺伝子について学びますが、大学では実際の生物を対象に、遺伝子解析や組織観察などを組み合わせながら、進化の仕組みを詳しく調べていきます。


タツノオトシゴの「育児嚢」はどう生まれた?

川口教授の研究室では、タツノオトシゴに代表されるヨウジウオ科の魚が持つ「育児嚢」を題材に、新しい器官がどのように形成され、進化してきたのかを研究しています。

タツノオトシゴでは、メスから受け取った卵をオスが育児嚢の中で育てます。多くの魚とは異なる繁殖の仕組みを持っているため、「なぜオスにこのような器官が生まれたのか」「育児嚢ではどのような遺伝子が働いているのか」といった疑問が生まれます。

2025年度の上智大学理工学部活動報告書では、タツノオトシゴの育児嚢の構成成分の抽出、育児嚢の組織観察、タツノオトシゴ固有タンパク質の機能解析などが研究テーマとして紹介されています。

見た目の特徴を観察するだけではなく、その特徴を生み出している遺伝子やタンパク質まで調べることで、生物の進化をより深く理解していくのです。


孵化の仕組みから進化を調べる研究も

川口教授は、魚が卵から孵化するときの仕組みについても長く研究しています。2008年から2011年には東京大学大気海洋研究所で、孵化酵素と卵膜の分子共進化に関する研究に取り組みました。

魚が卵から出るためには、卵を包んでいる膜を壊す必要があります。そのときに働くのが孵化酵素です。卵膜と孵化酵素の組み合わせがどのように変化してきたのかを調べることで、生物の繁殖に関わる仕組みの進化を考えることができます。

2025年度の研究テーマには、メダカの卵膜硬化に関わる遺伝子の発現解析も含まれています。タツノオトシゴだけでなく、さまざまな魚類を比較しながら研究が進められていることが分かります。


環境に適応する魚の進化も研究

川口教授の研究は、繁殖だけに限りません。2026年には、バルト海と大西洋に生息するタイセイヨウニシンを比較し、低い塩分の環境への適応に伴って、生殖に関係する遺伝子が自然選択を受けていることを示した国際共同研究にも参加しています。

同じ魚の仲間でも、生息している環境が違えば、そこで生き残るために必要な性質も変わります。その変化が遺伝子の違いとしてどのように現れるのかを調べることで、「生物が環境に適応するとはどういうことなのか」を科学的に考えることができます。

高校で学ぶ自然選択や進化という言葉も、大学では実際の遺伝子データや生物の特徴を比べながら検証する研究につながっていきます。


物質生命理工学科で生命の多様性を研究する

上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学などを組み合わせながら、物質と生命について学びます。生物科学分野では、細胞、遺伝子、植物、動物など、さまざまな角度から生命現象を研究する教員がいます。

川口教授の研究は、その中でも「生物の多様性はどのように生まれたのか」という大きな問いにつながる研究です。

生き物を見ることが好きな人も、ただ「魚が好き」で終わらせず、「なぜこの形をしているのだろう」「なぜこの繁殖方法になったのだろう」と考えてみると、進化生物学の入口が見えてきます。


高校の生物から研究の問いをつくってみよう

川口教授の研究に興味を持ったら、身近な生物について疑問を考えてみるのがおすすめです。

たとえば、「同じ魚なのに、なぜ姿や繁殖方法が違うのだろう」「環境が変わると、生物の体や遺伝子はどのように変化するのだろう」「新しい器官は進化の過程でどうやって生まれるのだろう」といった問いがあります。

水族館で見た生物、図鑑で気になった生き物、高校の授業で学んだ進化や遺伝の内容も、大学の研究につながるきっかけになります。

大切なのは、生き物が好きという気持ちだけでなく、「なぜ?」と思ったことを調べ、その先に新しい疑問を見つけることです。


推薦入試では興味のきっかけを一段深く考える

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考える際には、「生物が好きです」「海洋生物に興味があります」という説明から、もう一段深く考えてみましょう。

たとえば、タツノオトシゴに興味を持ったのであれば、「オスが子どもを育てる仕組みを知って、繁殖方法の進化に疑問を持った」「生物の見た目の違いと遺伝子との関係を知りたい」といった形で、自分の疑問を具体化できます。

高校生の段階で研究テーマを完全に決める必要はありません。授業や水族館、探究活動などで感じた疑問を調べながら、自分が大学でもっと知りたいことを整理していくことが大切です。

川口教授の研究を知ると、身近な生き物の不思議から、遺伝子、進化、環境適応という大きな研究テーマへつながっていくことが分かります。普段見ている生物についても、「なぜこの特徴があるのだろう」と一歩踏み込んで考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。