
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|角皆宏教授の整数論・構成的ガロア理論研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の角皆宏教授と、整数論・構成的ガロア理論の研究」です。
高校数学では、2次方程式の解の公式を学びます。では、3次方程式や4次方程式ではどうでしょうか。そして、5次以上の方程式にも同じような解の公式をつくることはできるのでしょうか。
こうした「方程式はどのように解けるのか」という問題を深く考えていくと、解の間にある「対称性」を研究するガロア理論へとつながります。角皆宏教授は、整数論やガロア理論を専門とし、特定の対称性を持つ多項式を具体的に構成する「構成的ガロア理論」などを研究しています。
角皆宏教授はどんな研究者?

角皆宏教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、整数論や構成的ガロア理論を専門としています。
早稲田大学で博士(理学)の学位を取得し、研究キーワードには、代数学、整数論、ガロア群、基本群、構成的ガロア理論などが挙げられています。
研究紹介によると、1993年頃から代数多様体に関連するガロア表現について研究を始め、その後、多重ゼータ値やガロア群の構成問題などへ研究を展開してきました。
現在の研究では、古典的な多項式のガロア理論へ立ち返りながら、「ある対称性を持つ方程式を具体的にどうつくるのか」という問題にも取り組んでいます。
そもそも「ガロア理論」とは?
ガロア理論は、方程式の解と「群」と呼ばれる数学的構造を結びつける理論です。
高校では、2次方程式に対して解の公式を使います。3次方程式や4次方程式にも、係数から根を求める公式があります。
ところが、一般の5次以上の方程式には、四則演算と根号を使った同じ意味での一般的な解の公式が存在しないことが知られています。
なぜ、次数が上がると状況が変わるのでしょうか。
19世紀の数学者エヴァリスト・ガロアは、方程式の根そのものを一つずつ計算するのではなく、「根を入れ替えたときに、どのような関係が保たれるのか」という対称性に注目しました。
その対称性を群として捉えることで、方程式がどのような方法で解けるのかを調べることができます。
「方程式を解く」という高校数学にも登場する問題の先に、現代代数学の重要な理論が広がっているのです。
方程式の「対称性」を考える
対称性というと、左右対称な図形などを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし数学では、方程式の解にも対称性を考えることができます。
ある方程式が複数の根を持っているとします。その根を一定の方法で入れ替えても、根同士に成り立っている数学的な関係が変わらない場合があります。
こうした「どのような入れ替えが可能なのか」を調べることで、方程式の背後にある構造を理解できます。
そして、その入れ替えの規則を数学的に表したものが、ガロア群と呼ばれる群です。
目に見える図形の対称性だけではなく、数や方程式の世界にも対称性が存在する。この考え方が、角皆教授の研究を理解するための重要な入口になります。
「構成的ガロア理論」とは?

角皆教授の研究を特徴づけるキーワードが「構成的ガロア理論」です。
ガロア理論では、ある多項式からガロア群を調べる方向だけでなく、逆向きの問題を考えることもできます。
つまり、「このようなガロア群を持つ多項式を実際につくることはできるだろうか」という問題です。
角皆教授は、古典的な多項式のガロア理論に立ち返り、根の対称性として特定のガロア群を持つ多項式を具体的に構成する研究に取り組んでいます。
抽象的に「存在する」と示すだけではなく、実際に多項式をつくり、その構造を調べていくところに「構成的」という言葉のイメージがあります。
幾何学的な対称性から多項式をつくる
角皆教授の研究では、幾何学的な対称性を利用して多項式を構成するという考え方も重要です。
代数学の問題なのに、なぜ幾何学が登場するのでしょうか。
現代数学では、代数学と幾何学が完全に別々の世界として存在しているわけではありません。幾何学的な対象が持っている対称性を代数的な言葉で表現したり、反対に代数的な問題を幾何学的な視点から考えたりすることがあります。
角皆教授は、幾何学的な対称性を利用することによって、特徴的なガロア群を持つ多項式を具体的に構成する研究を進めています。
一つの数学分野だけでは見えにくかった構造が、別の分野から見ることで分かりやすくなることもあります。ここにも現代数学の面白さがあります。
「多重ゼータ値」も研究テーマの一つ
角皆教授は、多重ゼータ値に関する研究にも取り組んできました。
多重ゼータ値は、数論などで研究されている数学的対象です。高校生の段階でその定義を理解する必要はありません。
注目したいのは、単純に一つの数を計算して終わるのではなく、さまざまな数学的対象の間にどのような関係があるのかを調べることが研究につながっている点です。
数論や代数学の研究では、一見まったく別のものに見える数式の間から思いがけない関係が見つかることがあります。
「なぜこの二つがつながっているのだろう」と問い続けることも、純粋数学の研究の大切な部分です。
高校数学の「方程式」から研究へつながる
角皆教授の研究は高度な純粋数学ですが、入口には高校数学で学ぶ内容があります。
最も分かりやすいのが方程式です。
高校では、方程式を見たら「どうすれば解を求められるか」を考えることが多いでしょう。しかし大学では、「なぜこの方法で解けるのか」「どのような方程式なら同じ方法で解けるのか」「解同士にはどのような関係があるのか」と、問いそのものを深めていきます。
さらに、複素数、整数、多項式、順列など、高校数学で触れるさまざまな内容が、大学で代数学を学ぶ入口になります。
問題を速く解くことだけではなく、公式の背後にある仕組みを知りたい人にとって、ガロア理論は興味深い分野でしょう。
数学と情報理工学はどうつながる?
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマから幅広い研究が行われています。
角皆教授の整数論やガロア理論は、情報理工学科の数理分野の広がりを感じられる研究です。
情報科学の背景には、代数学、離散数学、確率・統計など多くの数学があります。ただし、角皆教授が情報技術への応用を直接の目的としてガロア理論を研究しているという意味ではありません。
数学的な構造そのものを明らかにしようとする純粋数学の研究も、情報理工学科で学べる数理研究の一つです。
AIやプログラミングだけではない学科の幅広さを知るうえでも、こうした研究に注目してみるとよいでしょう。
数学を「教えること」とも接点がある
角皆教授は数学の専門的な研究だけでなく、数学科教育法などの授業も担当しています。
数学を深く理解することと、それを他の人に分かりやすく伝えることは同じではありません。
「なぜこの公式を学ぶのか」「この概念をどのような順序で説明すれば理解しやすいのか」と考えることは、数学教育における重要な視点です。
数学そのものを深く学びながら、数学をどのように教えるのかという問題にも関心がある人にとっては、研究分野と教育との接点を考えるきっかけにもなるでしょう。
推薦入試では「数学が得意」から一歩先へ
推薦入試で情報理工学科を志望する人が数学への関心を伝える場合、「数学が得意です」というだけでは、自分の興味の中身までは十分に伝わりません。
たとえば、「解の公式がなぜ存在するのか気になった」「複素数を使うとなぜ実数の問題まで解けるのか不思議だった」「方程式の答えを出すだけでなく、解同士の関係を知りたいと思った」といった経験を振り返ってみましょう。
そこから、「5次方程式にはなぜ一般的な解の公式がないのだろう」「方程式の解と対称性にはどのような関係があるのだろう」「ガロア群とは何を表しているのだろう」と疑問を広げることができます。
高校生の段階でガロア理論を理解している必要はありません。
身近な数学の問題から疑問を持ち、自分で調べ、その先にどのような数学があるのかを知ろうとすることが、大学での学びを考える第一歩になります。
高校の方程式から現代代数学の世界へ

角皆宏教授の研究を見ていくと、高校で学ぶ方程式の先に、ガロア群、整数論、構成的ガロア理論といった広大な数学の世界が続いていることが分かります。
「方程式の答えを求める」ことから、「なぜ解けるのか」「解の間にはどのような対称性があるのか」「特定の対称性を持つ方程式をつくれるのか」へと問いを深めていくのが大学数学です。
上智大学 理工学部 情報理工学科を調べる際には、AIや情報通信だけでなく、数学の構造そのものを追究する数理分野にも目を向けてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


