
上智大学 理工学部 機能創造理工学科 教員紹介|桑原英樹教授の強相関電子系・機能性材料研究
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 機能創造理工学科の桑原英樹教授と、物質の性質から新しい機能を生み出す研究」です。
スマートフォンやパソコン、人工衛星などに使われる技術の性能は、それを構成する「材料」の性質に大きく左右されます。では、これまでにない電気的・磁気的な性質を持つ材料をつくることができたら、どのような技術につながるのでしょうか。今回は、物質の基礎的な性質を調べながら新しい機能性材料を探究する桑原教授の研究を、高校の物理や化学とのつながりも含めて紹介します。
桑原英樹教授の専門は強相関電子系の電子物性

上智大学の公式情報によると、桑原英樹教授は上智大学 理工学部 機能創造理工学科に所属し、強相関電子系における電子物性を研究しています。上智学院教員教育研究情報データベースでは、東京大学で博士(工学)を取得し、遷移金属酸化物の電子物性に関する研究に取り組んでいることが確認できます。
研究キーワードには、物質科学、強相関系、量子凝縮系、新機能材料、結晶成長、磁性、誘電体、輸送物性、結晶構造などが挙げられています。
「強相関電子系」と聞くと難しく感じるかもしれません。物質の中には多数の電子がありますが、電子同士の影響が特に強く、一つ一つを独立して考えるだけでは性質を説明しにくい物質があります。電子が互いに強く影響し合うことで、磁気や電気に関する特徴的な現象が現れることがあり、その仕組みを研究するのが強相関電子系の物理学です。
注目する材料の一つが「遷移金属酸化物」
桑原教授の研究で重要なのが、遷移金属酸化物です。上智大学の公式記事では、電気と磁気の性質を併せ持つ遷移金属酸化物の開発に取り組んでいることが紹介されています。
遷移金属酸化物とは、鉄やマンガンなどの遷移金属と酸素から構成される化合物の総称です。含まれる元素や結晶構造などによって、電気や磁気に関するさまざまな性質を示します。
高校化学では、元素の性質や結晶、化学結合などを学びます。大学では、そこからさらに「原子がどのように並ぶと、物質全体の電気的・磁気的性質がどう変わるのか」という問いへ発展していきます。
つまり、材料研究は単に新しい物質をつくるだけではありません。原子レベルの構造と、私たちが観測できる物質の性質を結びつけて考えることが重要なのです。
自分で結晶をつくるところから研究が始まる
桑原教授の研究の面白さの一つは、研究対象となる材料そのものをつくるところから取り組む点です。
上智大学の公式記事では、原料を調合して高温で溶かし、冷却しながら結晶を育て、その結晶について電気的・磁気的性質などを調べていく研究の流れが紹介されています。研究室の活動報告でも、新規機能性酸化物の探索や機能性材料の研究が掲げられています。
材料をつくってみた結果が、予想通りになるとは限りません。むしろ、想定していなかった性質が現れ、「なぜこの結果になったのだろう」と考えるところから新しい研究が始まることもあります。
高校の化学実験や物理実験でも、予想した値と実測値が違った経験があるかもしれません。その違いを単なる「失敗」と考えるのではなく、条件、測定方法、材料の状態などを一つずつ検討する姿勢は、大学での研究にもつながっています。
電気と磁気を結びつける材料とは?
桑原教授の研究テーマには、マルチフェロイック物質や電気磁気効果に関する研究もあります。
マルチフェロイック物質とは、磁気的な性質と電気的な性質など、複数の性質が一つの物質の中で関係し合う材料です。たとえば電場を加えることで磁気的な状態を変えたり、その逆の作用を利用したりできる可能性が研究されています。
こうした材料研究は、電子の「電荷」だけでなく「スピン」と呼ばれる性質を活用するスピントロニクスなどとも関係します。上智大学の公式記事では、桑原教授の研究について、パソコンなどのメモリーへの応用を視野に入れた材料開発が紹介されています。
ただし、新しい材料を発見すればすぐに製品化できるわけではありません。基礎的な性質の解明、性能の評価、安定性や製造方法など、多くの課題を検討していく必要があります。基礎研究と社会で使われる技術の間には、長い研究開発の積み重ねがあることも理解しておきたいところです。
宇宙探査機につながる「放射率可変素子」の研究

桑原教授の研究では、宇宙分野との接点も確認できます。研究室の活動報告には、SRD(放射率可変素子)の性能向上に向けた物質開発が研究テーマとして掲載されています。
宇宙空間では、地上とは異なる厳しい温度環境を考える必要があります。上智大学の公式記事では、人工衛星や宇宙探査機の温度調整に関わる材料についても桑原教授の研究が紹介されています。
ここで興味深いのは、「宇宙開発を研究したい」という興味が、必ずしもロケットそのものの研究だけにつながるわけではないことです。材料の電気的・磁気的・熱的な性質を研究することも、宇宙技術を支える重要なテーマになり得ます。
上智大学 理工学部 機能創造理工学科が、物理学や数学などの理学と、材料、デバイス、電子機器、エネルギー、機械システムなどの工学を融合的に学ぶ学科であることを考えると、このような研究は学科の幅広さを理解する具体例にもなります。
高校の物理・化学からどうつながる?
桑原教授の研究に興味を持った人は、まず高校で学んでいる内容から疑問を広げてみましょう。
たとえば、物理で電気や磁気について学んだときに、「なぜ物質によって磁石につくものとつかないものがあるのか」と考えてみる。化学で結晶について学んだときに、「原子の並び方が少し変わるだけで、材料の性質も変化するのだろうか」と調べてみる。身近な電子機器を見ながら、「今使われている材料にはどんな限界があるのだろう」と考えることもできます。
大切なのは、物理や化学の成績だけで自分との相性を決めることではありません。授業で覚えた知識を使って身近な技術を見直し、「なぜ?」という問いを一段深く掘り下げていくことが、大学の学びを知る入り口になります。
推薦入試に向けて研究内容をどう生かす?
上智大学 理工学部 機能創造理工学科の推薦入試を考えている人は、教員の研究内容を「先生の名前を覚えるための情報」にしないことが大切です。
「桑原教授が新機能材料を研究しているから興味があります」だけではなく、「なぜ自分は新しい材料に興味を持ったのか」「高校で学んだ何がきっかけだったのか」「調べていく中で、次にどんな疑問を持ったのか」まで考えてみましょう。
たとえば、電子機器の省エネルギー化に関心を持ったことから材料の性質を調べ、電気と磁気の関係に興味が広がったという流れも考えられます。宇宙開発への興味から探究を始め、宇宙機を支える材料技術にたどり着くこともあるでしょう。
研究テーマを今の段階で完全に決める必要はありません。自分の興味を大学での学びと結びつけながら、「大学でもっと知りたいこと」を整理していくことが、出願書類や面接で問われる志望理由を自分の言葉で考えることにもつながります。
身近な「材料」から大学の研究を見てみよう

桑原英樹教授の研究を見ると、物理学の基礎的な問いと、新しい材料やデバイスを生み出す工学が密接につながっていることが分かります。
スマートフォン、パソコン、電気機器、人工衛星など、身の回りや社会で使われている技術を「どんな材料が支えているのだろう」という視点で見直してみると、新しい疑問が生まれるかもしれません。
上智大学 理工学部 機能創造理工学科を目指している人は、ぜひ桑原教授をはじめとする教員の研究を調べ、高校で学んでいる数学や物理、化学が大学の研究にどうつながるのかを考えてみてください。そこから、自分自身が大学で追究してみたい問いも少しずつ見えてくるはずです。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


