
上智大学 外国語学部 英語学科|英語はどうやって身につく?和泉伸一教授と解き明かす第二言語習得の謎
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。今回のテーマは、上智大学外国語学部英語学科の和泉伸一教授についてご紹介します。
皆さんは、英単語や文法を一生懸命勉強しているのに、実際に英語を話そうとすると言葉が出てこないと感じたことはありませんか。
また、同じ授業を受けていても、英語が得意になる人と苦手意識を持つ人がいるのはなぜでしょうか。
こうした疑問を学問として研究するのが、第二言語習得という分野です。
和泉教授は、人が母語以外の言語をどのように身につけるのか、そして外国語の学習を支えるためにはどのような指導が考えられるのかを研究しています。
今回は、和泉教授の専門分野や研究内容、授業、ゼミの特色を通して、英語を学ぶことそのものを研究する面白さをご紹介します。
和泉伸一教授のプロフィール
和泉伸一教授は、上智大学外国語学部英語学科に所属し、応用言語学、第二言語習得、英語教授法などを専門とする研究者です。
応用言語学とは、言語に関する研究成果を、教育やコミュニケーションなど現実社会の課題と結びつけて考える学問分野です。
その中でも和泉教授が専門とする第二言語習得は、母語以外の言語を人がどのように学び、使えるようになっていくのかを研究する分野です。
英語の教え方を考える際にも、単に「この勉強法がおすすめ」という経験的な説明ではなく、学習者の言語能力がどのように変化するのかを理論や研究結果に基づいて考えることが重要になります。
和泉教授の研究は、英語を学ぶ高校生にとっても、自分自身の学習経験を新しい視点から見つめ直すきっかけになるでしょう。

第二言語習得とは?英語を身につける仕組みを研究する
第二言語習得は、英語でSecond Language Acquisitionと呼ばれ、SLAと略されることがあります。
この分野では、人が母語以外の言語をどのような過程で習得するのかを、心理学や言語学、教育学などとも関わりながら研究します。
例えば、英語の授業で現在完了形を学んだとしましょう。
問題集では正しい英文を作れるようになっても、実際の会話で自然に使えるとは限りません。
文法の知識を持っていることと、コミュニケーションの中でその知識を使えることには、違いがあるからです。
また、同じ英文を聞いても、すぐに意味を理解できる人もいれば、頭の中で日本語に訳してから理解する人もいるでしょう。
第二言語習得研究では、こうした違いがどのように生まれるのかを考えます。
学習者が接する英語の量や内容、学習環境、これまでの経験、言語を使う機会など、さまざまな要因が研究の対象になります。
大切なのは、英語の習得を単純に努力の量だけで説明しないことです。
人が外国語を身につける過程には多くの要因が関係しており、それらを丁寧に調べることが、第二言語習得研究の特徴です。
研究テーマ① 学習者の頭の中では何が起きているのか
和泉教授が専門とする第二言語習得研究では、学習者が外国語の知識をどのように形成していくのかが重要な問いになります。
外国語を学んでいる人は、最初から正しい文法体系を完全に理解しているわけではありません。
学習を進める中で、自分なりの言語の規則を作り、間違いや新しい発見を通じて、その規則を少しずつ変化させていきます。
このような学習者独自の言語体系は、第二言語習得研究で「中間言語」と呼ばれます。
例えば、英語を学び始めた人が、過去形を使うべき場面でも現在形を使ってしまうことがあります。
これは単に知識が不足しているというだけでなく、学習者の中で英語の仕組みが形成されていく途中の姿として捉えることもできます。
間違いを研究することで、学習者が何を理解し、何をまだ習得していないのかを考えることができるのです。
こうした視点は、英語を教える側だけでなく、学ぶ側にとっても重要です。
自分の間違いを単なる失敗として捉えるのではなく、学習の過程を理解する手がかりとして考えられるからです。
研究テーマ② Focus on Formとは?文法とコミュニケーションを結びつける
和泉教授の専門分野に関連する重要な考え方の一つが、Focus on Formです。
Focus on Formとは、意味のあるコミュニケーション活動を行いながら、必要に応じて文法や語彙などの言語形式にも注意を向ける指導の考え方です。
例えば、英語の授業で「週末に何をしたか」を友人同士で話す活動を考えてみましょう。
生徒たちは、自分の経験を相手に伝えることを目的として英語を使います。
その中で過去形の使い方に問題が生じた場合、教師が必要に応じて正しい表現に注意を向けることがあります。
このように、伝えたい内容を中心にした活動と、言語の正確さへの意識を結びつけるのがFocus on Formの基本的な考え方です。
従来の文法学習とコミュニケーション活動を単純に対立させるのではなく、両者をどのように関連づけるかを考える点に特徴があります。
ただし、どのような指導が効果的かは、学習者の習熟度や授業の目的、活動の内容などによって異なります。
そのため、実際の授業や学習者の反応を調べながら、指導のあり方を検討することが重要になります。

担当授業|言語研究の基礎から英語教授法まで
和泉教授の教員紹介資料では、言語研究の入門から第二言語習得、英語教授法まで、幅広い科目が紹介されています。
主な科目として、次のようなものが挙げられます。
- Introduction to the Study of Language 1・2
- Second Language Acquisition 1・2
- English Teaching Methodology C
- Seminar in Applied Linguistics 1・2
- Second Language Acquisition(大学院)
- Focus on Form: Theory, Research, and Practice(大学院)
言語研究の入門科目では、言語を学問として考えるための基礎的な視点を身につけます。
第二言語習得の科目では、人が外国語を学ぶ過程について、さまざまな理論や研究を通して理解を深めていきます。
さらに、英語教授法では、外国語の習得に関する知識を実際の教育とどのように結びつけるかを考えます。
英語学科で学ぶことは、英語を話したり読んだりする能力を高めることだけではありません。
言語そのものを研究対象として捉え、英語を学ぶ仕組みや教育のあり方について考えることも、専門的な学びの一つです。
なお、担当科目や開講状況は年度によって変更される場合があります。最新の履修情報を確認してください。
和泉ゼミの特色|日本の英語教育を理論と実践から考える
和泉教授のゼミでは、教室で行われる第二言語習得を中心に、英語教育に関するさまざまな課題について考えます。
教室での第二言語習得は、Instructed Second Language Acquisitionと呼ばれ、ISLAと略されます。
この分野では、学校などの教育環境において、学習者が外国語をどのように身につけるのかを研究します。
例えば、教師による説明やフィードバックが学習者の理解にどのように関係するのか、コミュニケーション活動が言語習得にどのような役割を果たすのかといった問いが考えられます。
和泉教授のゼミでは、学生による発表やディスカッションを通して、理論と実際の教育を結びつけながら理解を深めていくことが重視されています。
英語教育について考えるときには、教師の立場だけでなく、学習者の立場から疑問を持つことも大切です。
自分自身が英語を学んできた経験を振り返り、なぜそのような学習経験になったのかを考えることも、研究への入り口になります。

高校英語とのつながり|自分の学習経験が研究の出発点になる
第二言語習得研究は、高校生の皆さんにとって比較的身近な疑問から考え始められる分野です。
例えば、英単語を何度も書いて覚えたのに、長文を読むと意味が思い出せなかった経験はありませんか。
あるいは、リスニングでは理解できる英文でも、自分で話そうとすると言葉が出てこないことがあるかもしれません。
こうした経験から、言語の知識を覚えることと、実際に使えるようになることの違いについて考えられます。
また、英語の授業でペアワークやグループ活動を経験した人は、その活動が自分の学習にどのような影響を与えたのかを振り返ってみるのもよいでしょう。
大学では、こうした疑問を個人的な感想だけで終わらせず、先行研究を読み、理論を学び、根拠に基づいて考察することが求められます。
英語学習の経験を学問的な問いへと発展させられることが、第二言語習得研究の魅力の一つです。
推薦入試を目指す高校生へ|英語学習への疑問を深めよう
上智大学外国語学部英語学科の推薦入試を考えている皆さんは、英語が好きという気持ちに加えて、英語について何を研究したいのかを考えてみましょう。
和泉教授の研究分野に関心がある場合は、自分の英語学習経験を振り返ることが一つの方法です。
例えば、文法問題は解けるのに英会話では言葉が出てこないという経験から、「知識を実際のコミュニケーションで使えるようになるには、どのような学習が必要なのだろう」という疑問が生まれるかもしれません。
その疑問をきっかけに第二言語習得という研究分野を知り、学習者が外国語を習得する仕組みについて調べてみることができます。
また、将来英語教員を目指している人であれば、自分が受けてきた授業を振り返り、英語の教え方と学習者の理解の関係について考えることもできるでしょう。
大切なのは、教授の研究内容を覚えることではなく、自分自身の経験から生まれた疑問を深めていくことです。
こうした探究を通じて、英語学科で何を学びたいのかを具体的に考えることができます。
なお、特定の教員の研究に関心を持つことが推薦入試で有利になるわけではなく、入学後に必ずその教員の指導を受けられるとも限りません。
まとめ|英語を学ぶ仕組みを知ることも大学での研究
和泉伸一教授は、第二言語習得や英語教授法を専門とし、人が外国語をどのように身につけるのか、そして外国語教育をどのように考えるべきかを研究しています。
英語を学ぶ過程には、学習者の知識や経験、学習環境、指導方法など、さまざまな要因が関係しています。
英語学科では、英語を使う能力を高めるだけでなく、英語を学ぶ仕組みそのものを研究することもできます。
英語学習や英語教育に疑問を持ったことがある方は、和泉教授の研究をきっかけに、第二言語習得という分野について調べてみてはいかがでしょうか。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試を目指す高校生に向けて、出願書類の準備や面接対策などのサポートを行っています。受験準備についてお悩みの方は、お気軽に無料個別相談をご利用ください。
※本記事は、提供された記事案をもとに作成しています。教員の所属・職位・研究内容・担当科目などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご確認ください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


