上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|山中高夫准教授のコンピュータビジョン・知覚情報処理研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の山中高夫准教授と、コンピュータビジョン・知覚情報処理の研究」です。

私たちは写真を見た瞬間に、「人がいる」「車がある」「ここが目立つ」といったことを自然に判断できます。では、コンピュータは画像の中から、どのように意味のある情報を見つけているのでしょうか。

山中高夫准教授は、コンピュータビジョンや知覚情報処理、パターン認識などを専門とし、人間の知覚とも関係する画像認識・画像生成について研究しています。


山中高夫准教授はどんな研究者?

山中高夫准教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、知覚情報処理、知的センシングシステム、パターン認識、コンピュータビジョンなどを研究しています。

東京工業大学で工学を学び、博士号を取得した後、米国Texas A&M UniversityのComputer Science部門で博士研究員として研究に携わった経験を持ちます。その後、上智大学で教育・研究に取り組んでいます。

研究キーワードには、コンピュータビジョン、Neuromorphic Engineering、知覚情報処理などがあり、機械学習や深層学習を利用した画像の認識・生成に関係する研究を進めています。


「コンピュータビジョン」とは?

コンピュータビジョンとは、画像や映像に含まれる情報をコンピュータで処理し、その内容や特徴を捉えようとする研究分野です。

デジタル画像は、コンピュータにとっては大量の数値データです。

私たちは写真を見ればすぐに「犬がいる」と分かりますが、コンピュータには最初から「これは犬」という意味が与えられているわけではありません。

画像の中にどのような特徴があり、それをどのように処理すれば対象を認識できるのか。こうした問題を研究するのがコンピュータビジョンです。

現在では深層学習も重要な方法の一つとなっていますが、「AIに画像を見せれば何でも理解できる」というわけではありません。学習に使用するデータやモデル、評価方法などによって結果は変化します。


人間は画像のどこに注目する?

山中准教授の研究を知るうえで興味深いテーマの一つが「顕著性マップ推定」です。

一枚の画像を見たとき、私たちは画像全体をまったく同じように見ているわけではありません。

人物の顔や、周囲と色が大きく異なる場所など、自然と注意を向けやすい部分があります。

このような視覚的な注意に関係する情報を、画像上の分布として推定するものが顕著性マップです。

「画像のどの部分が人間の注意を引きやすいのか」をコンピュータによって推定する問題だと考えると分かりやすいでしょう。


顕著性マップはどうやって推定する?

人間がどこを見るかは、単純に「一番明るいところを見る」といった一つのルールだけでは説明できません。

色、形、物体、画像全体の構成など、さまざまな要素が関係します。

そこで、画像データと人間の視覚的注意に関する情報を利用し、機械学習や深層学習によって画像のどの領域が注目されやすいのかを推定する方法が研究されています。

重要なのは、人間の視覚そのものを完全に再現することではありません。

人間の知覚から得られた知見やデータを手がかりに、コンピュータが画像の重要な領域をどのように捉えられるのかを考えていきます。


「画像を見るAI」だけでなく「画像をつくるAI」も

コンピュータビジョンでは、画像を認識するだけでなく、画像を生成する研究も行われています。

画像認識では、与えられた画像から対象や特徴を読み取ります。一方、画像生成では、学習したデータなどをもとに新しい画像を構成します。

近年は生成AIによって画像をつくるサービスも身近になりましたが、大学における画像生成研究は、完成したサービスを利用することだけを意味しません。

画像をどのようなデータとして表現するのか、どのようなモデルで学習するのか、生成した結果をどう評価するのかといった仕組みそのものが研究対象になります。


全天球画像とは?

山中准教授が取り組んできた研究テーマには、全天球画像に関係するものもあります。

一般的な写真では、カメラを向けた一定の範囲だけが画像になります。一方、全天球画像では、周囲360度の空間を広い範囲で表現します。

VRなどで周囲を見回したときに、前だけでなく横や後ろの景色まで見える映像をイメージすると分かりやすいでしょう。

こうした画像は通常の平面画像とは異なる性質を持つため、画像をどのように表現し、処理するのかという新しい問題が生まれます。

全天球画像を対象とした生成や画像処理も、コンピュータビジョンにおける研究テーマの一つです。


限られた情報から周囲を考える

画像生成について考えると、「写っていない部分をコンピュータはどう扱うのだろう」という疑問も生まれます。

コンピュータが存在しない情報を直接見ることはできません。

そのため、学習した画像のパターンや、与えられた画像に含まれる情報などを利用して、どのような画像が考えられるのかを推定します。

ただし、生成された画像が実際の空間を正確に再現しているとは限りません。

これは生成AI全般を考えるうえでも重要な視点です。「自然に見える画像」と「現実に正しい画像」は同じではないのです。


Neuromorphic Engineeringとは?

山中准教授の研究キーワードには「Neuromorphic Engineering」もあります。

これは、人間を含む生物の神経系に見られる情報処理の仕組みから着想を得て、新しい情報処理システムやセンシング方法を考える研究領域です。

一般的なコンピュータとは異なる方法で情報を捉えたり処理したりする仕組みが研究されています。

ただし、「人間の脳をそのままコンピュータ上に再現する」という意味ではありません。

生物の神経系や知覚の仕組みからヒントを得ながら、効率的なセンシングや情報処理の方法を考えるところに特徴があります。


人間の「見る」とコンピュータの「見る」は違う

山中准教授の研究を考えるとき、人間とコンピュータでは画像の捉え方が違うことにも注目してみましょう。

私たちは画像を見れば、物体だけでなく、状況や文脈まで自然に理解することがあります。

一方、コンピュータは画像を数値データとして受け取り、そこから一定の規則や学習したパターンに基づいて情報を取り出します。

そのため、「人間には簡単なのにコンピュータには難しい問題」もあります。

人間の知覚を調べながらコンピュータによる画像処理を考える知覚情報処理は、「人間はなぜ自然に見ることができるのか」という問いと、「それを情報処理としてどう表現するのか」という問いが出会う研究領域でもあります。


高校の数学・情報からどうつながる?

山中准教授の研究は、高校の数学や「情報」で学ぶ内容ともつながっています。

デジタル画像は、小さな画素の集まりとして表現され、それぞれの画素が色や明るさに関する数値を持っています。

つまり画像処理の入口は、「画像を数値として扱う」ことです。

数学で学ぶ関数、ベクトル、確率・統計などは、機械学習や画像処理を学ぶための基礎につながります。

「情報」で学ぶプログラミングやデータ活用についても、画像という大量のデータをどのように処理するかを考える際につながっていきます。

高校生のうちから高度な深層学習を実装できる必要はありません。「画像はコンピュータの中でどう表現されているのだろう」と考えるだけでも、研究への入口になります。


情報理工学科の「人間情報」とのつながり

上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマから幅広い研究が行われています。

山中准教授の研究は、人間の視覚や知覚とコンピュータによる情報処理を結びつけて考える点で、人間情報の広がりを感じられる研究です。

AI研究というと、コンピュータだけを研究するイメージがあるかもしれません。しかし、人間がどのように情報を受け取り、どこに注意し、どのように対象を認識するのかを考えることも、新しい情報処理技術を研究するヒントになります。


推薦入試では「画像認識に興味がある」を深めよう

画像認識や生成AIに興味がある人は、「AIで画像を扱いたい」というところから、もう一歩疑問を深めてみましょう。

たとえば、「人間は写真のどこを最初に見るのだろう」「コンピュータは画像のどこを重要だと判断するのだろう」「画像認識AIが間違えるのはどのようなときだろう」といった問いがあります。

生成AIを使ったことがあるなら、「なぜ存在しない景色を自然に描けるのか」「自然に見える画像と事実として正しい画像は何が違うのか」と考えることもできます。

VRに興味がある人なら、「360度の画像を平面の画像と同じ方法で処理できるのだろうか」という疑問も研究につながります。

身近なAI体験から疑問を見つけ、自分で仕組みを調べ、大学でさらに何を知りたいのかまで考えていくことが大切です。


人間の知覚からコンピュータの「見る」を考える

山中高夫准教授の研究を見ていくと、コンピュータビジョンとは単にAIに画像の名前を当てさせる研究ではないことが分かります。

人間は画像のどこに注意するのか。コンピュータは画像からどのような特徴を取り出せるのか。通常とは異なる形式の画像をどのように処理するのか。そして、人間の知覚や神経系から情報処理について何を学べるのか。

こうした問いが、知覚情報処理、コンピュータビジョン、Neuromorphic Engineeringなどの研究につながっています。

上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、「AIで画像を認識したい」というところから一歩進んで、「人間とコンピュータでは、そもそも画像の見え方がどう違うのだろう」という視点から研究分野を調べてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。