
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|平田均助教の応用解析・生物数理研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の平田均助教と、応用解析・生物数理の研究」です。
生物の個体数は時間とともにどのように変化するのでしょうか。感染症が広がるとき、現在の感染者数だけではなく、数日前の状態が現在に影響することはないのでしょうか。
自然界や社会で起こる「変化」を数学によって表現し、その性質を詳しく調べる研究があります。平田均助教は、微分方程式や関数解析などを用いて、こうした問題を研究しています。
平田均助教はどんな研究者?

平田均助教は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、応用解析や生物数理などを研究しています。
東京大学大学院数理科学研究科で修士(理学)、博士(数理科学)の学位を取得し、微分方程式を中心とした数学研究を進めてきました。
研究テーマには、非線形Schrödinger方程式をはじめとする微分方程式の解析や、生物個体群などを表現する数理モデルに関係する数学的問題があります。
現実の現象をそのまま眺めるのではなく、数式としてモデル化し、その数式がどのような性質を持っているのかを厳密に調べるところが研究の特徴です。
「変化」を数式で表す微分方程式
平田助教の研究を理解するための入口となるのが「微分方程式」です。
高校数学では、微分を使って関数の変化の割合を調べます。たとえば位置を時間で微分すれば速度を考えることができます。
微分方程式では、この「変化の割合」と未知の関数との関係を方程式として表します。
自然界には時間とともに変化する現象がたくさんあります。物体の運動、波、生物の個体数などもその例です。
そこで、現象の変化を微分方程式として表し、その方程式の解がどのように振る舞うのかを調べることで、現象を数学的に理解しようとします。
「非線形」になると何が難しい?
平田助教の研究キーワードの一つに「非線形Schrödinger方程式」があります。
ここで注目したいのが「非線形」という言葉です。
単純な比例関係のように、入力と出力の関係を比較的扱いやすい形で表せるものを線形と呼ぶのに対し、非線形な方程式では、未知の量同士がより複雑に関係します。
そのため、解を簡単な公式で書けない場合も多く、「そもそも解は存在するのか」「解は一つに決まるのか」「時間がたつとどのように変化するのか」といったこと自体が重要な研究問題になります。
答えを一つ計算して終わるのではなく、方程式の解全体が持つ性質を調べるのが大学における解析学の研究です。
非線形Schrödinger方程式とは?
Schrödinger方程式は、量子力学において重要な方程式として知られています。
そこに非線形な効果を含めた非線形Schrödinger方程式は、数学的な研究対象であると同時に、波に関係するさまざまな数理モデルに現れます。
たとえば一般に、非線形Schrödinger方程式は非線形光学、波動現象、Bose-Einstein凝縮などを記述する数理モデルとして研究されています。
ただし、平田助教がこれらすべての物理現象を個別に研究しているという意味ではありません。
平田助教の研究では、こうした数理物理に関係する微分方程式について、解がどのような性質を持つのかを数学的に解析することが重要なテーマになっています。
生物の増減も数学で表せる?

平田助教の研究には、生物数理に関係するテーマもあります。
たとえば、ある地域に生息する生物の個体数を考えてみましょう。
個体数は、生まれる個体と死ぬ個体の数、食料、他の生物との関係などによって時間とともに変化します。
こうした変化を数学的な規則として表すことができれば、生物個体群の変化を数理モデルとして研究できます。
もちろん、現実の生態系は非常に複雑です。数式一つですべてを完全に再現できるわけではありません。
だからこそ、「どの要素をモデルに入れるのか」「どこまで単純化するのか」「そのモデルから何が分かるのか」を慎重に考える必要があります。
「時間遅れ」を含むモデルとは?
生物や社会に関係する現象では、現在の状態だけで次の変化が決まるとは限りません。
過去に起きたことが、時間を置いて現在に影響する場合があります。
たとえば生物の場合、生まれてすぐに繁殖できるとは限らず、成長するまで一定の時間が必要になることがあります。
感染症について考える場合にも、感染してから症状が現れたり、他者への感染に関係したりするまでに時間的なずれを考えるモデルがあります。
このように過去の状態が現在の変化へ影響する仕組みを取り入れたものが、時間遅れを含む数理モデルです。
時間遅れが加わることで数学的な構造も複雑になり、そのモデルをどのように解析するのかが研究課題になります。
感染症モデルと数学の役割
感染症について数学的に考える研究では、人から人への感染や回復などを一定の規則としてモデル化します。
しかし、数理モデルは未来を必ず当てるためのものではありません。
どのような仮定を置くか、どのような要素を含めるかによって、モデルが表現できる範囲は変わります。
そのため、「この数式なら必ず感染者数を予測できる」と考えるのではなく、モデルの前提や数学的性質を理解することが重要です。
平田助教の研究では、こうした生物や感染症に関係する数理モデルの背景にある関数解析など、数学的な基盤についても研究しています。
「関数解析」って何をするの?
平田助教の研究を理解するうえで、もう一つ重要なのが関数解析です。
高校数学では、関数に具体的な数を入れ、その値を求めたりグラフを描いたりします。
大学数学では、個々の関数だけではなく、たくさんの関数をまとめて一つの数学的な空間として考えることがあります。
こうした関数の集まりを数学的に扱い、そこでの構造や性質を調べるのが関数解析です。
微分方程式の解を研究するときにも、解となる関数をどのような空間で考えるのかが重要になります。
現実の現象をモデル化した方程式を研究するために、そのさらに土台となる数学理論が必要になるのです。
高校数学からどうつながる?
微分方程式や関数解析は大学で学ぶ高度な内容ですが、その入口には高校数学があります。
関数、数列、極限、微分、積分などは、応用解析を学ぶための重要な基礎です。
たとえば高校では、「この関数を微分しなさい」という問題を解きます。そこから一歩進んで、「ある変化の法則が分かっているとき、もとの関数はどのようになるのか」と考えると、微分方程式につながります。
また、「計算して答えを出す」だけでなく、「この解はいつまで存在するのか」「条件を少し変えたら解はどう変わるのか」と考えることで、解析学らしい問いへ進んでいきます。
なぜ情報理工学科で応用解析を学ぶの?
上智大学 理工学部 情報理工学科では、「人間情報」「情報通信」「社会情報」「数理情報」という4つのキーテーマから幅広い研究が行われています。
平田助教の研究は、その中でも数理情報の広がりを感じられる研究です。
情報科学では、データを分析するだけでなく、対象となる現象を数理モデルとして表現することも重要です。
現象をどのような変数で表すのか。それらの変数が時間とともにどう変化するのか。モデルとして置いた方程式には、どのような性質があるのか。
こうした問いを数学的に考える応用解析は、複雑な現象を数理的に捉えるための基礎の一つになります。
推薦入試では「数学を使って○○を解決したい」から一歩先へ
数学を自然現象や社会現象に応用することに興味がある人は、「数学で感染症を予測したい」「数学で生物の動きを説明したい」と考えることがあるかもしれません。
そこから、「現実の現象を数式にするとき、何を残して何を単純化すればよいのだろう」「過去の状態が現在に影響する場合はどう表現するのだろう」「数理モデルから分かることと、分からないことは何だろう」と問いを深めてみましょう。
また、高校数学の微分を学んだときに、「変化率が分かれば未来の状態を求められるのだろうか」と考えてみるのも面白いでしょう。
高度な微分方程式を高校生のうちに解ける必要はありません。身近な現象を数学でどう表現できるのかに疑問を持ち、自分なりに調べていくことが大学での研究につながります。
数式から自然や社会の「変化」を考える

平田均助教の研究を見ていくと、数学は教科書の問題を解くためだけのものではないことが分かります。
微分方程式を使って変化を表現し、関数解析を使ってその数学的性質を調べる。そして、生物個体群や感染症などの数理モデルを通して、複雑な現象をどのように数学で捉えられるのかを考えていきます。
上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、AIやプログラミングだけではなく、自然や社会の現象を数式によってモデル化する「数理情報」の研究にも注目してみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した
上智大学合格プロジェクト
を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。
限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


