上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|萬代雅希教授のネットワーク・エッジコンピューティング研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の萬代雅希教授と、コンピュータネットワーク・エッジコンピューティングの研究」です。

スマートフォンで動画を見る、オンラインゲームをする、クラウド上のサービスを利用する。私たちが何気なく使っているサービスの裏側では、大量のデータがネットワークを通じて送受信されています。

では、すべてのデータを遠く離れたサーバーまで送って処理する方法が、いつでも最適なのでしょうか。

アプリケーションの特徴に合わせて、データをどこで処理し、どのようなネットワークを構成すればよいのか。こうした問題を研究しているのが萬代雅希教授です。


萬代雅希教授はどんな研究者?

萬代雅希教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、コンピュータネットワークや情報通信工学を専門としています。

慶應義塾大学で学士、修士、博士(工学)の学位を取得し、情報ネットワークやネットワークコンピューティングに関する研究を進めてきました。

研究では、さまざまなアプリケーションに対応するネットワークアーキテクチャを考え、センシング、通信、コンピューティングなどを組み合わせたシステムについて取り組んでいます。

単に「速い通信を実現する」だけではなく、データがどこで生まれ、どこへ送り、どこで処理すればよいのかまで含めてネットワーク全体を考えることがポイントです。


「ネットワークアーキテクチャ」とは?

ネットワークアーキテクチャとは、コンピュータや通信機器、サーバーなどをどのような構成で接続し、情報をやり取りするのかというシステム全体の設計に関わる考え方です。

たとえば、多数のセンサからデータを集めるシステムを考えてみましょう。

センサから得られたデータをすべて一か所のサーバーへ送る方法もあれば、センサの近くにあるコンピュータで一部を処理してから送る方法もあります。

どちらが適しているかは、扱うデータの量、求められる応答速度、通信環境、利用できる計算資源などによって変わります。

そのため、「何を実現したいのか」に合わせてネットワーク全体の構成を考える必要があります。


クラウドコンピューティングとは?

現在、多くの情報サービスで利用されているのがクラウドコンピューティングです。

自分のスマートフォンやパソコンだけですべての処理を行うのではなく、ネットワークの先にあるサーバーやデータセンターの計算資源を利用する仕組みです。

大量のデータを保存したり、大きな計算能力を利用したりできることがクラウドの特徴です。

一方、データを遠隔地のサーバーへ送り、処理結果を受け取るためにはネットワークを経由する必要があります。

アプリケーションによっては、その通信にかかる時間や通信量などが問題になる場合があります。


「エッジコンピューティング」は何が違う?

そこで登場する考え方の一つが、エッジコンピューティングです。

エッジコンピューティングでは、データが発生する端末やセンサに比較的近い場所へ計算資源を配置し、そこでデータの一部を処理します。

たとえばセンサから大量のデータが発生したとき、そのすべてを遠くのクラウドへ送るのではなく、近くのコンピュータで必要な処理を行い、その結果だけをクラウドへ送るという方法も考えられます。

データが発生した場所の近くで処理することで、通信量や応答時間などを考慮したシステム設計が可能になります。

ただし、「エッジなら常にクラウドより優れている」という意味ではありません。

大規模な計算や大量のデータをまとめて扱う場合にはクラウドが適していることもあります。重要なのは、それぞれの特徴を理解し、目的に応じて組み合わせることです。


クラウドとエッジをどう組み合わせる?

萬代教授の研究を考えるうえでは、「クラウドかエッジか」という二者択一ではなく、両者をどのように連携させるかという視点が重要です。

ネットワーク上には、スマートフォンやセンサなどの端末、端末に近いエッジ、さらにその先にあるクラウドなど、さまざまな場所に計算資源があります。

では、ある処理をどこで実行すればよいのでしょうか。

応答速度を重視するのか、計算能力を重視するのか、通信量を減らしたいのか。求められる条件によって適切な構成は変わります。

このように、通信と計算を別々に考えるのではなく、システム全体として設計することがネットワークコンピューティングの重要な課題になります。


センシングとネットワークもつながっている

萬代教授の研究では、センシング技術もネットワークと関係します。

センサを使えば、温度、位置、動きなど、現実世界で起きているさまざまな現象をデータとして取得できます。

しかし、データを取得するだけでは情報システムとして利用できません。

取得したデータをどこへ送り、どこで処理し、どのような結果を返すのかという仕組みが必要です。

多数のセンサや端末が存在する環境では、通信量や処理負荷なども考える必要があります。

現実世界からデータを取得するセンシングと、そのデータを運ぶネットワーク、そしてデータを処理するコンピューティングは互いに深く関係しているのです。


機械学習を使う場合にもネットワークが必要

AIや機械学習について考えると、アルゴリズムだけに注目しがちです。

しかし、機械学習を利用するためにはデータが必要です。そして、そのデータが複数のセンサや端末から発生する場合、どこへ集め、どこで処理するかという問題が生まれます。

すべてのデータをクラウドへ送って処理する方法もあれば、エッジ側で一部の処理を行う方法も考えられます。

そのため、機械学習を実際のシステムへ組み込む場合には、通信と計算資源の配置を含めた設計も重要になります。

AIだけを単独で見るのではなく、それを動かすネットワークやコンピューティング環境まで考えることで、情報システムの全体像が見えてきます。


自動運転やスマートシティとの接点

クラウドやエッジを組み合わせる考え方は、さまざまな情報システムで検討されています。

たとえば自動運転やロボットなど、短い時間で情報を処理することが求められるシステムでは、すべての判断を遠隔のクラウドだけに任せるのではなく、端末やその近くで処理する考え方が重要になります。

また、スマートシティのように多数のセンサからデータが発生する環境でも、どのデータをどこへ送り、どこで処理するのかというネットワーク設計が課題になります。

これらはクラウド・エッジコンピューティングの一般的な応用を考えるうえで分かりやすい例です。

大切なのは、特定の技術を使うこと自体を目的にするのではなく、アプリケーションが必要とする条件からネットワークの構成を考えることです。


高校の「情報」とどうつながる?

萬代教授の研究は、高校の「情報」で学ぶネットワークやデータ活用、プログラミングなどともつながっています。

高校では、インターネットで情報がどのように送られるのか、コンピュータ同士がどのように通信するのかを学びます。

大学ではそこからさらに、「大量の端末が接続されたらどうなるのか」「通信が混雑したらどうするのか」「計算処理をどこで行えば効率がよいのか」といった問題へ進んでいきます。

数学で学ぶ確率や関数なども、ネットワークの性能やデータの動きを考えるための基礎になります。

プログラムを書くことだけではなく、複数のコンピュータがつながったときにシステム全体をどう動かすのかを考えることも、情報理工学の重要なテーマです。


推薦入試では身近な「遅い」「つながらない」から考えてみる

ネットワーク研究に興味がある人は、日常生活の中にも研究につながる疑問を見つけることができます。

たとえば、「オンラインゲームでは、なぜ少しの通信の遅れが気になるのだろう」「動画はなぜ途中で止まることがあるのだろう」「スマートフォンのアプリで行われる処理は、端末とクラウドのどちらで行われているのだろう」と考えてみましょう。

さらに、「大量のセンサが同時にデータを送ったらどうなるのか」「AIの処理を端末の近くで行うメリットとデメリットは何だろう」と問いを広げることもできます。

「ネットワークに興味があります」で終わらず、身近な体験から疑問を見つけ、自分で仕組みを調べてみることが、大学で学びたいことを具体化するきっかけになります。


「情報を運ぶ」だけではないネットワーク研究

萬代雅希教授の研究を見ていくと、コンピュータネットワークは単にデータをA地点からB地点へ送るための技術ではないことが分かります。

データがどこで発生し、どこで処理され、どのような通信経路を通り、どの程度の応答速度が必要なのか。クラウド、エッジ、センシング、機械学習などを組み合わせながら、システム全体を考えていく必要があります。

上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、普段当たり前のように利用しているインターネットの裏側で、「情報をどこで処理し、どう届けるのか」という問題が研究されていることにも注目してみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。