上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|林等教授のIoT・無線センサネットワーク研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 情報理工学科の林等教授と、IoT・無線センサネットワークの研究」です。

エアコンが室温を測って自動的に運転を調整する。スマートウォッチが身体の状態を記録する。工場の機械に取り付けたセンサが異常を検知する。私たちの周囲では、現実世界のさまざまな情報をセンサで取得し、ネットワークを通じて利用する技術が広がっています。

こうしたIoT社会を支える無線通信、センサネットワーク、高周波回路などを研究しているのが林等教授です。


林等教授はどんな研究者?

林等教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、IoT、無線センサネットワーク、マイクロ波・高周波回路など、情報通信に関係する研究に取り組んでいます。

東京大学大学院で電気工学を学び、博士(工学)の学位を取得しています。東京大学工学部での研究を経て、1992年から2012年まで日本電信電話株式会社で研究開発に携わり、その間には米国マサチューセッツ工科大学で研究に従事した経験もあります。2012年から上智大学 理工学部で教育・研究に携わっています。

現在は、センサ、無線通信、回路、ネットワークなどを組み合わせ、現実世界から情報を取得して活用するための技術を幅広く研究しています。


「無線センサネットワーク」とは?

林教授の研究を理解するうえで重要なキーワードが「無線センサネットワーク」です。

センサとは、温度、湿度、明るさ、振動など、現実世界で起きている現象を検出するための装置です。

一つのセンサだけでも情報を取得できますが、多数のセンサをさまざまな場所に設置し、それぞれを無線通信でつなげば、広い範囲からデータを集めることができます。

これが無線センサネットワークの基本的な考え方です。

たとえば建物の複数の場所に温度センサを設置すれば、「建物のどこが暑いのか」という情報を細かく把握できます。工場なら、複数の機械から振動などのデータを取得することも考えられます。

現実世界をデータとして捉えるための入口がセンサなのです。


IoTでは「測る」だけでは足りない

IoTというと、インターネットにつながった家電などをイメージするかもしれません。

しかし、IoTシステムを実現するためには、単にセンサを取り付ければよいわけではありません。

センサで情報を取得し、それをコンピュータが扱える信号へ変換し、必要な場所まで通信し、集めたデータを処理する必要があります。

さらに、センサを長期間使うのであれば、消費電力も重要です。多数のセンサを設置しても、頻繁に電池を交換しなければならないと、利用できる場所や方法が限られてしまいます。

「測る」「信号へ変換する」「送る」「処理する」という複数の技術が組み合わさってIoTシステムが成り立っています。


なぜ小型化・低消費電力化が重要なの?

林教授の研究では、マイクロ波回路などの小型化や低消費電力化も重要なテーマになります。

センサネットワークでは、多数の小型機器を設置する場合があります。そのため、一つひとつの装置が大きかったり、大量の電力を消費したりすると、利用できる環境が限られます。

そこで、通信に必要な回路を小型化し、できるだけ少ない電力で動かすための技術が求められます。

特に無線通信では、情報を送るためにもエネルギーを使います。「どのくらいの情報を、どのような方法で、どのくらいの電力を使って送るのか」を考えることも重要です。

IoTを支える研究では、AIやソフトウェアだけでなく、その下で実際に信号を扱っている電子回路や無線通信技術も欠かせないのです。


アナログの世界をデジタルデータに変える

私たちが暮らしている現実世界の温度や音、振動などは、コンピュータの中に最初から数字として存在しているわけではありません。

センサで捉えた物理現象を電気的な信号として扱い、それをデジタルデータへ変換することで、コンピュータによる処理や通信が可能になります。

たとえば温度が変化すれば、センサから得られる電気信号も変化します。その変化を読み取り、数値として扱えるようにすることで、温度データを記録したり、別の機器へ送ったりできます。

つまりIoTは、「現実世界」と「デジタル世界」をつなぐ技術でもあります。

林教授の研究を通じて、普段スマートフォンの画面上で見ているデータが、そもそもどのように取得されているのかという部分にも目を向けることができます。


スマートメーターやスマート家電との接点

無線センサネットワークの考え方は、私たちの身近なIoT機器とも関係しています。

たとえばスマートメーターでは、電気などの使用量に関する情報をデジタルで取得し、通信を利用して扱います。

スマート家電でも、センサや通信機能を組み合わせることで、機器の状態を把握したり、別の機器やネットワークと連携したりできます。

重要なのは、単に「インターネットにつながっている」ことではありません。

何を測るのか、どの程度の精度が必要なのか、どのくらいの頻度で通信するのか、どの程度の消費電力に抑えるのかなど、実際のシステムをつくるためには多くの条件を考える必要があります。


カーボンニュートラルと情報技術の接点

林教授の研究テーマには、カーボンニュートラルやDXに関係するものもあります。

エネルギー利用を考えるとき、「どこで、いつ、どのくらいのエネルギーが使われているのか」を把握することは重要です。

センサやネットワークを利用すれば、設備などの状態に関するデータを取得し、エネルギー利用を分析したり、制御方法を検討したりするための情報として活用できます。

一方で、センサや通信機器そのものも電力を消費します。そのため、IoT機器自体を低消費電力で動かすという視点も重要です。

無線センサネットワークだけでカーボンニュートラルを実現できるわけではありませんが、現実世界の状態をデータとして把握し、より適切な制御方法を考えるための基盤技術の一つとして接点があります。


AIとセンサはどうつながる?

AIについて考えるとき、アルゴリズムだけに注目してしまいがちです。しかし、AIが現実世界について判断するためには、分析するためのデータが必要です。

温度、音、画像、振動などのデータを取得する入口となるのがセンサです。

センサからデータを取得し、ネットワークを通じて集め、必要に応じてAIなどで分析する。この一連の仕組みを考えると、センサ、通信、ネットワーク、データ処理、AIが互いにつながっていることが分かります。

「AIに何を判断させるか」だけではなく、「その判断に必要なデータをどうやって取得するのか」を考えることも、情報システムを研究するうえでは重要です。


高校の物理・数学・情報からどうつながる?

林教授の研究は、高校で学ぶ物理、数学、情報などとつながっています。

物理では、電気、電磁波、波、周波数などの知識が無線通信や電子回路を理解する基礎になります。

数学では、関数や三角関数などが信号や波を数理的に考える際につながっていきます。

そして高校の「情報」で学ぶネットワーク、データ活用、プログラミングなどは、取得したデータを通信・処理する仕組みを考える入口になります。

大学ではこれらを別々の教科として考えるのではなく、「センサで取得した情報を無線で送り、コンピュータで利用するにはどうすればよいか」という一つの問題の中で組み合わせていきます。


推薦入試では「IoTに興味がある」を具体化しよう

推薦入試で情報理工学科を志望する人の中には、「IoTに興味があります」「スマートシティをつくりたい」と考えている人もいるでしょう。

そこから、もう一段具体的な疑問へ進んでみてください。

たとえば、「スマート家電はどのように周囲の状態を把握しているのだろう」「多数のセンサを設置したら、電池はどのくらい持つのだろう」「離れた場所にある大量のセンサは、どうやって同時に通信するのだろう」といった問いがあります。

また、「AIが分析しているデータは、そもそもどこから来ているのだろう」と考えてみてもよいでしょう。

普段使っているスマートフォンや家電などから疑問を見つけ、自分で仕組みを調べていくことで、情報理工学科で学びたいことをより具体的にできます。


現実世界を「情報」に変える研究

林等教授の研究を見ていくと、IoTは単に家電をインターネットにつなぐ技術ではないことが分かります。

センサによって現実世界を測り、その情報をデジタル信号へ変換し、無線通信で送り、ネットワークを通じて利用する。そのためには、電子回路、センシング、無線通信、ネットワーク、情報処理など、さまざまな技術が必要です。

上智大学 理工学部 情報理工学科を志望している人は、AIやプログラミングだけでなく、「コンピュータが扱うデータは、どのように現実世界から取得されているのか」という視点から情報技術を考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。