
上智大学 理工学部 情報理工学科 教員紹介|亀田裕介准教授の画像処理・動き推定研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 情報理工学科の亀田裕介准教授と、画像処理・動き推定の研究」です。
私たちは動画を見れば、「人が右へ歩いている」「車が近づいている」と自然に理解できます。しかし、コンピュータにとって、映像の中から「何が、どの方向へ、どのくらい動いたのか」を読み取ることは簡単ではありません。
こうした映像の「動き」を情報として捉え、コンピュータで分析する研究に取り組んでいるのが亀田裕介准教授です。
亀田裕介准教授はどんな研究者?

亀田裕介准教授は、上智大学 理工学部 情報理工学科に所属し、画像処理を中心とした視覚情報処理を研究しています。
千葉大学大学院で修士課程・博士後期課程を修了し、博士(工学)の学位を取得しています。研究分野には、画像センシング、3次元映像処理、映像データの圧縮符号化、数値解析などがあり、研究キーワードとしてイベントカメラ、オプティカルフロー、シーンフロー、動き推定、画像符号化、錯視、ロボットビジョン、コンピュータビジョンなどが挙げられています。
一枚の画像だけを見るのではなく、時間とともに変化する映像から「動き」を取り出すことが、研究を理解する大きなポイントです。
映像の「動き」を数値にするオプティカルフロー
亀田准教授の研究を知るうえで重要な言葉の一つが「オプティカルフロー」です。
動画は、少しずつ異なる画像が時間順に並ぶことで動いているように見えています。その前後の画像を比較し、画像の各部分がどちらの方向へどれくらい移動したのかを推定するのがオプティカルフローです。
たとえば映像の中をボールが左から右へ移動した場合、その位置の変化をコンピュータで計算することで、動きの方向や大きさを情報として表現できます。
実際の映像では、物体の形が変わったり、別の物体に隠れたり、明るさが変化したりするため、正確な動きの推定は簡単ではありません。人間には自然に見える「動き」を、コンピュータが扱える数値に変えること自体が研究テーマになるのです。
3次元空間の動きを捉える「シーンフロー」
さらに亀田准教授は、「シーンフロー」についても研究しています。
一般的なカメラ映像は縦と横の2次元ですが、現実の世界には奥行きがあります。人や車は左右だけではなく、カメラに近づいたり遠ざかったりします。
シーンフローは、このような3次元空間における動きを推定する考え方です。
ステレオカメラなどを利用して奥行きの情報を取得しながら、空間内で物体がどのように移動しているのかを捉えていきます。
2次元の画像を処理するだけでなく、「現実の空間をコンピュータの中でどう表現するのか」という問題にもつながる研究です。
普通のカメラとは違う「イベントカメラ」とは?

亀田准教授の研究で、もう一つ注目したいのがイベントカメラです。
一般的なカメラは、一定の時間間隔で画面全体を撮影します。それに対してイベントカメラは、画素ごとの明るさの変化を検出し、変化が生じた場所と時刻などを情報として出力します。
つまり、画面全体を何度も撮影するのではなく、「どこで変化が起きたのか」を細かな時間単位で捉えることができます。
この特徴は、速く動く対象を扱う場合などに生かすことができます。一方で、通常の画像とはデータの形式が異なるため、その情報をどのように処理し、動きの推定につなげるのかという新しい研究課題も生まれます。
亀田准教授は、イベントカメラを用いたオプティカルフローやシーンフローなど、動きのセンシングに関する研究に取り組んでいます。
なぜ「映像データ圧縮」も研究するの?
亀田准教授の研究分野には、映像データの圧縮符号化も含まれています。
スマートフォンで動画を撮影したり、インターネットで動画を視聴したりすると、大量の映像データが扱われます。そのままではデータ量が非常に大きくなるため、できるだけ情報を保ちながらデータ量を小さくする技術が必要です。
動画には、前後の画面で変化していない部分と、動いている部分があります。そのため、映像の「動き」を正しく捉えることは、映像を効率よく圧縮する技術とも関係しています。
普段何気なく視聴している動画配信の裏側にも、画像処理や数学的な考え方が使われているのです。
人間の目が起こす「錯視」も研究対象
研究キーワードの中には、「錯視」という少し意外な言葉もあります。
錯視とは、実際の形や動きとは異なるように見えるなど、人間の視覚が起こす現象です。
私たちは目に入った情報をそのまま見ているわけではなく、脳によるさまざまな処理を通して周囲を認識しています。そのため、一定の条件では、本当は動いていないものが動いているように感じることもあります。
人間がどのように映像を見ているのかを考えることは、「コンピュータにどのように画像や動きを認識させるのか」を考えることとも接点があります。
情報理工学では、コンピュータの仕組みだけでなく、人間が情報をどのように受け取るのかも研究対象になるのです。
動き推定はどんな技術につながる?
画像から物体や人の動きを推定する技術は、ロボットビジョンをはじめ、さまざまな分野と関係しています。
ロボットが周囲を移動するためには、「目の前に何があるのか」だけではなく、「それがどの方向へ動いているのか」を捉えることも重要です。
一般に、動き推定や3次元画像処理は、自動運転や自律移動ロボットなどとも関係する基盤技術です。ただし、これらすべてが亀田准教授の直接の研究対象であるという意味ではありません。
一つの基礎的な画像処理技術が、さまざまな情報システムの土台になり得るところも、この分野の面白さです。
高校の数学・物理・情報とどうつながる?
画像処理は、高校で学ぶ数学や情報と深く関係しています。
たとえば、画面上で「どの方向へどれくらい移動したか」を表すときには、ベクトルの考え方が役立ちます。物体の位置や速度の変化を考えれば、数学や物理で学ぶ内容ともつながります。
また、デジタル画像は小さな画素の集まりであり、それぞれの画素が数値として表現されています。高校の「情報」で学ぶデジタル化やプログラミング、データ処理の考え方は、大学では画像や映像を実際に解析する技術へ発展していきます。
画像処理を学ぶことは、「コンピュータに写真を見せる」ことではなく、画像を数値として捉え、そこから必要な情報を取り出す方法を考えることなのです。
推薦入試では「画像認識に興味がある」から深めよう

推薦入試で情報理工学科を考えている人なら、スマートフォンのカメラや動画、画像認識など、身近な経験から関心を深めることができます。
たとえば、「人間は動画を見ただけで動きを理解できるのに、コンピュータではどうやって判断するのだろう」「速く動く物体を正確に捉えるにはどんなカメラが必要なのだろう」「2台のカメラから奥行きが分かるのはなぜだろう」といった問いが考えられます。
さらに、イベントカメラについて調べ、「普通のカメラとデータの取り方が違うと、どんなメリットや課題が生まれるのだろう」と比較してみるのも面白いでしょう。
亀田裕介准教授の研究を見ていくと、私たちには当たり前に見えている「動き」も、コンピュータに理解させるためには数学、センシング、アルゴリズムなど多くの技術が必要であることが分かります。
動画やカメラを使ったときに、「コンピュータには、この映像がどのように見えているのだろう」と考えてみてください。その疑問が、上智大学 理工学部 情報理工学科で学ぶ画像処理やコンピュータビジョンへの入口になるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


