
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|齊藤玉緒特任教授の化学生態学・細胞性粘菌研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の齊藤玉緒特任教授と、細胞性粘菌・化学生態学の研究」です。
土の中には、細菌や菌類をはじめとする多くの微生物が存在しています。目には見えませんが、それぞれが化学物質を作り出し、周囲の生物と関わりながら生きています。齊藤玉緒特任教授は、こうした微生物が化学物質を介してどのように情報をやり取りしているのかを研究しています。
齊藤玉緒特任教授の専門は化学生態学

上智大学理工学部の現在の教員紹介では、齊藤教授は上智大学 理工学部 物質生命理工学科の特任教授として掲載されています。主な研究テーマは「細胞間情報伝達物質の分子生物学的研究」です。
研究分野は生物分子科学や化学生態学で、細胞性粘菌、ポリケタイド、ポリケタイド合成酵素、ゲノム情報、メタゲノム解析などが研究キーワードとして挙げられています。
化学生態学とは、生物同士の関係を化学物質という視点から調べる研究分野です。「ある生物が作った物質が、別の生物にどのような影響を与えるのか」を調べることで、生態系の中で起きている見えない情報交換を理解しようとします。
土壌微生物は化学物質で「会話」している
齊藤教授の研究紹介では、土壌微生物がさまざまな化学物質を作り出し、それを利用して互いにコミュニケーションしていることに注目しています。
もちろん、人間のように言葉を話しているわけではありません。ここでいう「会話」とは、ある微生物が作った化学物質を別の生物が受け取り、行動や成長などを変化させることを指します。
土壌では、細菌や菌類、線虫など多様な生物が関係し合っています。その中でどのような化学物質が作られ、何のために使われているのかを解明することで、生物同士の関係や土壌生態系をより深く理解できます。
研究対象は不思議な生物「細胞性粘菌」
齊藤教授が研究材料としているのが、細胞性粘菌です。
細胞性粘菌は、普段は一つひとつの細胞が独立して生活しています。しかし、環境条件が変化すると細胞同士が集まり、まとまった構造をつくります。この変化の過程では、細胞同士の情報伝達が重要な役割を果たします。
齊藤教授は、細胞性粘菌が作り出す化学物質や、その物質を合成する酵素を研究しています。2025年度の研究では、細胞性粘菌の分化に関係する化合物や、それらを作り出す仕組みなどについて研究が進められています。
高校の生物で学ぶ細胞の分化や情報伝達も、大学では実際の生物と分子を使いながら、その仕組みを詳しく検証していきます。
ポリケタイド合成酵素とは?
齊藤教授の研究で重要なキーワードの一つが「ポリケタイド合成酵素」です。
酵素とは、生物の体内で起こる化学反応を助けるタンパク質です。ポリケタイド合成酵素は、ポリケタイドと呼ばれるさまざまな有機化合物を作り出す働きを持っています。
齊藤教授は、細胞性粘菌が持つ新しいタイプのポリケタイド合成酵素や、そこから生み出される化学物質について研究してきました。
「生物がなぜこの物質を作るのか」「作られた物質が他の生物にどのような作用をするのか」を調べることで、分子生物学と生態学の両方から生命現象を理解できます。
線虫との関係から土壌環境を考える研究も

齊藤教授は、細胞性粘菌が作る物質と植物寄生性線虫との関係についても研究してきました。
研究課題の中には、細胞性粘菌由来の線虫忌避物質を利用した植物保護資材や、環境への負荷を抑えた病害虫防除につながる技術の検討も含まれています。
ここで重要なのは、「ある化学物質を見つければすぐに農業問題が解決する」ということではありません。まず自然界でその物質がどのような役割を持っているのかを調べ、その作用や安全性などを一つずつ確認していく必要があります。
基礎的な生態学の研究と、社会で役立つ技術の可能性がどのようにつながっていくのかを考えられる点も、この研究の特徴です。
物質生命理工学科だからこそ見える「生命と化学」のつながり
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを包括的・複合的に学びます。
齊藤教授の研究は、生物の行動や生態を観察するだけではなく、その背景にある化学物質や酵素、遺伝子について調べます。つまり、「生命現象」と「物質」を一緒に考える研究です。
高校では化学と生物を別々の授業で学ぶことが多いですが、大学では「生物がどんな化学物質を作るのか」「その物質が生態系でどんな意味を持つのか」という形で、二つの分野が自然につながっていきます。
高校の生物や化学から研究の問いをつくろう
齊藤教授の研究に興味を持ったら、身近な微生物や土壌について疑問を広げてみましょう。
たとえば、「土の中にはどのような微生物がいるのだろう」「微生物同士はどのように相手を認識しているのだろう」「生物が作る化学物質にはどんな役割があるのだろう」といった問いがあります。
高校の生物で細胞や微生物について学んだ経験、化学で有機化合物や酵素について学んだ経験も、このような研究につながります。
教科書に載っている仕組みを覚えるだけでなく、「自然界では実際にどう使われているのだろう」と考えてみると、新しい興味が見つかるかもしれません。
推薦入試では「微生物が好き」の先まで考えてみる

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考える場合、「微生物に興味があります」「生物が好きです」というところから、もう一歩深く考えてみましょう。
たとえば、「微生物同士が化学物質を使って関係を築く仕組みを知りたい」「生物が作る物質が生態系の中でどのような役割を果たしているのか研究したい」と問いを具体化できます。
高校生の段階で細胞性粘菌やポリケタイドについて詳しい知識を持っている必要はありません。興味を持った現象について調べ、そこから「もっと知りたい」と思ったことを整理していくことが大切です。
齊藤教授の研究を知ると、目に見えない微生物の世界にも、化学物質を通じた複雑な関係が存在することが分かります。高校で学んでいる生物と化学が大学でどのようにつながるのか、自分の身近な疑問からぜひ考えてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。

