
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|倉林伸博准教授の神経回路・ストレス研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の倉林伸博准教授と、脳の神経回路・ストレスに関する研究」です。
私たちの脳には、多数の神経細胞がつながってできた複雑な神経回路があります。見る、聞く、考えるといった働きも、こうした神経細胞同士のつながりによって支えられています。では、その神経回路はどのようにつくられ、環境から受けるストレスなどによってどのように変化するのでしょうか。倉林伸博准教授は、マウスをモデル生物として、脳の神経回路が形成・維持される仕組みを研究しています。
倉林伸博准教授の研究テーマ

倉林准教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の准教授です。2026年に上智大学へ着任し、主な研究テーマとしてマウス、ストレス、神経回路、大脳皮質、狂犬病ウイルスなどを掲げています。
研究室では、環境的な要因や遺伝的な要因が大脳皮質の神経回路にどのような影響を及ぼすのかを調べています。さらに、それによって脳機能がどのように変化するのか、その分子レベルの仕組みを明らかにすることを目指しています。
高校の生物では神経細胞や脳について学びますが、大学では一つひとつの神経細胞がどこにつながり、そのつながりがどのような分子によって調節されているのかまで研究対象になります。
大脳皮質の神経回路を調べる
倉林准教授の研究で重要な対象となるのが「大脳皮質」です。大脳皮質は、感覚情報の処理をはじめ、さまざまな脳機能に関わる領域です。
脳の中では、神経細胞が単独で働いているわけではありません。神経細胞同士が「シナプス」と呼ばれる接点を介してつながり、情報を受け渡しています。どの細胞がどの細胞につながるのかによって、神経回路の働きも変化します。
倉林准教授は、こうした神経回路がどのようにつくられ、維持されるのかを研究しています。「脳は完成したら変わらないもの」ではなく、環境や経験などの影響を受けながら変化する可能性があることを、細胞や分子のレベルから調べていく研究です。
ストレスによって脳の回路はどう変わる?
倉林准教授が取り組む重要なテーマの一つが、ストレスと神経回路の関係です。
2026年度には、「感覚皮質のシナプス変容から読み解くストレス障害の分子ロジック」という研究課題が研究援助に採択されています。この研究では、ストレスによって感覚皮質の神経回路がどのように変化するのかを、神経細胞のシナプスに注目して調べています。
さらに、細胞内で働く多数のタンパク質をまとめて解析する「プロテオーム解析」という方法を利用し、ストレスによる回路変化に関係する分子の仕組みを明らかにしようとしています。
「ストレス」という身近な言葉も、生命科学では感覚や気分だけの問題として考えるのではなく、神経細胞やタンパク質の変化をデータとして測定し、その仕組みを検証していきます。
狂犬病ウイルスが神経回路研究に使われる理由
研究キーワードの中に「狂犬病ウイルス」があることを意外に感じる高校生もいるでしょう。
神経科学では、性質を調整したウイルスを研究手法として利用し、神経細胞同士のつながりを調べる方法があります。倉林准教授の教育研究情報でも、組換え狂犬病ウイルスが研究キーワードとして挙げられています。
重要なのは、「ウイルス=病気」という一つの見方だけではないことです。生命科学では、生物が持つ性質を詳しく理解し、その仕組みを研究のために利用することがあります。
高校で学ぶウイルスや神経細胞の知識も、大学では「神経回路をどうやって可視化するのか」という実験技術へとつながっていきます。
国内外の研究機関で神経科学を研究

倉林准教授は、東京大学で博士(理学)の学位を取得した後、東京大学大学院理学系研究科で助教を務めました。また、アメリカのMax Planck Florida Institute for NeuroscienceでVisiting Scientistとして研究を行った経験があります。
その後、富山大学生命科学先端研究支援ユニットの講師、東京都医学総合研究所の主席研究員などを経て、2026年から上智大学 理工学部 物質生命理工学科の准教授となりました。
神経科学では、分子生物学、細胞生物学、遺伝学、画像解析など、複数の分野の方法を組み合わせて研究することがあります。さまざまな研究環境で培われた視点が、現在の神経回路研究にもつながっています。
物質生命理工学科で脳を研究する
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学などを幅広く学び、それらを組み合わせた「複合知」の修得を目指しています。
2026年度には、倉林准教授が物質生命理工学科の「基礎生物学」を担当しています。高校までに学んだ細胞、遺伝子、タンパク質などの知識を土台として、大学ではより専門的な生命現象へと学びを広げていきます。
脳の研究というと医学部を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、神経細胞の働きや神経回路の形成を生物学の視点から研究することもできます。物質生命理工学科には、このように生命を細胞や分子のレベルから考える研究分野があります。
高校の生物から神経科学への問いをつくろう
倉林准教授の研究に興味を持ったら、身近な疑問から考えてみましょう。
たとえば、「経験によって脳のつながりは変わるのだろうか」「強いストレスを受けると神経細胞では何が起こるのだろう」「多数の神経細胞のつながりを研究者はどうやって調べるのだろう」といった問いがあります。
高校で学んだ神経系の内容をきっかけに、大学の研究紹介や科学記事を調べてみると、新しい疑問が生まれるかもしれません。大切なのは、脳に興味があるというところで止まらず、「脳の何を知りたいのか」まで考えてみることです。
推薦入試では自分の疑問と大学の研究をつなげる

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、「脳科学に興味があります」「生物が好きです」という説明から、もう一歩先へ進めてみましょう。
たとえば、ストレスについて調べた経験があるなら、そこから「ストレスが神経細胞に与える影響を分子レベルで知りたい」と考えることができます。神経について興味を持ったのであれば、「神経細胞同士のつながりはどうやってできるのか」という問いへ発展させることもできます。
高校生の段階で神経科学の専門知識や高度な実験経験が必要ということではありません。自分が疑問に思ったことについて調べ、そこからさらに何を知りたいと思ったのかを整理することが大切です。
倉林准教授の研究を知ると、高校で学ぶ神経細胞やタンパク質の知識が、その先で脳の神経回路やストレスによる変化を解明する研究につながっていることが分かります。自分の身近な疑問と、上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びをぜひ結びつけて考えてみてください。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


