上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|鈴木教之教授の有機合成・触媒化学研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の鈴木教之教授と、環境に配慮した有機合成・触媒化学の研究」です。

私たちの身の回りには、医薬品やプラスチック、繊維など、有機化合物からつくられたものが数多くあります。こうした物質を効率よく合成するためには、化学反応をうまく進める方法を考える必要があります。鈴木教之教授は、有機金属化合物や金属触媒を利用し、新しい有機合成反応を生み出す研究に取り組んでいます。


鈴木教之教授の専門は有機合成・有機金属化学

鈴木教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の教授です。主な研究テーマは「有機金属化合物の特性を活かした新しい合成反応の開発」で、博士(工学)の学位を東京大学で取得しています。

研究キーワードには、有機合成化学、有機金属化学、遷移金属触媒などが挙げられています。また、近年は環境調和型合成プロセスや、水中での有機反応についても研究しています。

高校の化学では、有機化合物の構造や反応を学びます。大学ではそこから一歩進み、「今まで難しかった反応をどうすれば実現できるのか」「必要な物質だけを効率よくつくるにはどうすればよいのか」といった問いに挑戦します。


金属触媒が化学反応を助ける

鈴木教授の研究で重要なキーワードが「触媒」です。触媒とは、化学反応そのものでは消費されにくい一方で、反応を進みやすくする役割を持つ物質です。

特に鈴木教授は、遷移金属を含む錯体触媒を研究しています。金属の周囲には「配位子」と呼ばれる分子が結合しており、この配位子の構造を変えることで、触媒の性質も大きく変わります。

そのため研究室では、新しい配位子を設計・合成し、それによってどのような反応が可能になるのかを調べています。

高校化学で金属や有機化合物を別々に学んでいても、大学では金属と有機分子を組み合わせることで、新しい化学反応を生み出す研究につながっていきます。


長年研究してきた有機金属化合物

鈴木教授は長年にわたり、有機金属化学の研究に取り組んできました。有機金属化合物とは、炭素原子と金属原子との結合を持つ化合物です。

これまでには、ジルコニウムなどの前周期遷移金属を利用した有機合成反応や、オレフィン重合触媒、環状不飽和化合物の合成などを研究してきました。

金属の種類や配位子の構造が少し変わるだけでも、反応の進み方や得られる生成物が変化することがあります。そのため、「どんな構造なら目的の反応が起こるのか」を考え、実際に分子をつくり、実験で確かめることが重要です。

分子レベルの小さな違いから、物質のつくられ方そのものを変えていくところが、有機金属化学の面白さの一つです。


水の中で有機合成反応を進める

近年の鈴木教授の研究で特徴的なのが、水を反応媒として利用する有機化学反応です。

一般に有機化合物は水に溶けにくいため、有機合成では有機溶媒を利用することが多くあります。しかし、反応によって使用する溶媒や廃棄物を減らすことができれば、より環境に配慮した化学プロセスを考えることができます。

そこで鈴木教授は、温度によって水への溶けやすさが変化する「温度応答性高分子」を利用しています。この高分子を使って水中にミセルと呼ばれる小さな反応場をつくり、その中で有機反応を進める研究です。

実際に、こうした高分子を利用することで、水中での触媒反応における生成物の回収効率を高めた研究成果が紹介されています。


環境に配慮するとは「水を使えばよい」だけではない

水を利用した反応と聞くと、「水なら安全だから、それだけで環境に優しい」と思うかもしれません。しかし、化学プロセスを環境の視点から考えるときには、溶媒だけでなく、反応に必要なエネルギー、触媒の量、生成物の回収方法、廃棄物なども考える必要があります。

鈴木教授の研究では、触媒の働きを高めたり、反応後の生成物を回収しやすくしたりすることで、環境調和型の有機合成プロセスを目指しています。

これは、単に新しい物質をつくるだけではなく、「どのようにつくるのか」まで研究対象にする考え方です。


物質生命理工学科で「物質をつくる化学」を学ぶ

上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを複合的に学びます。化学・応用化学分野では、有機化学や無機化学、物理化学などを土台に、多様な物質や反応について研究が行われています。

鈴木教授の研究は、その中でも「新しい化学反応をつくる」という視点から物質を研究するものです。

高校ではすでに知られている化学反応を学ぶことが中心ですが、大学の研究では、まだ十分に実現されていない反応を考えたり、新しい触媒を設計したりします。「教科書に載っている反応を覚える」ことから、「新しい反応そのものを考える」ことへと学びが変化していきます。


推薦入試では「化学が好き」の理由を深めよう

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、「化学が好きです」「有機化学に興味があります」というところから、もう一歩疑問を深めてみましょう。

たとえば、「同じ原料から目的の物質だけをつくるにはどうすればよいのか」「触媒の構造が変わると反応はなぜ変化するのか」「化学製品をつくる過程で環境への負荷を小さくするには何を考える必要があるのか」といった問いにつなげられます。

高校の実験で、温度や濃度によって反応の様子が変わった経験から興味を広げるのもよいでしょう。重要なのは、大きな研究実績があることではなく、身近な疑問について自分で調べ、その先に何を学びたいのかを考えていくことです。

鈴木教授の研究を知ると、高校で学んでいる有機化学や金属の知識が、新しい触媒や環境に配慮した化学プロセスの研究へとつながっていることが分かります。「物質をつくる方法そのものを変えることはできないだろうか」という視点から、化学の世界をさらに調べてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。