
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 田中雅子教授とは?開発学・国際協力論・ジェンダーから移民と人権を考える
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「田中雅子教授の研究と、総合グローバル学科で学べる開発学・国際協力・ジェンダーについて」です。
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科で、国際協力やジェンダー、移民をめぐる問題について研究しているのが田中雅子教授です。現在の専門は、開発学、国際協力論、ジェンダー論、NGO・NPO論、南アジア地域研究です。特にネパールをはじめとした南アジアと日本をフィールドに、人の移動によって生じる社会課題や、移民女性の権利などを研究しています。
田中雅子教授は何を研究している?

田中教授の研究を理解するうえで重要なのが、「国際協力をする側」だけではなく、実際に社会課題を経験している人々の立場から問題を見る視点です。
田中教授は、1990年代からNGOやJICA、日本赤十字社などを通じて、南アジアや西アフリカで開発援助の実務に携わってきました。帰国後は日本も研究のフィールドとし、ネパールから日本へ移住した人々との関わりを続けています。
現在は、移民女性の性と生殖に関する健康や権利、移民の子どもの言語教育、移民自身による当事者団体の役割などについて研究しています。「海外の問題」と「日本国内の問題」を分けず、人の移動によって社会がどのようにつながっているのかを見る研究といえるでしょう。
移民女性の妊娠から日本社会の制度を考える
田中教授が近年取り組んでいるテーマの一つが、移民女性のリプロダクティブ・ヘルスです。これは、妊娠や出産、避妊など、性と生殖に関する健康と権利を考える分野です。
日本で暮らしている外国人女性が妊娠した場合、日本人と同じ制度の中で生活しているように見えても、言葉の壁、情報不足、在留資格、仕事、経済状況などによって必要な支援にたどり着きにくいことがあります。
田中教授は、こうした問題を医療だけの問題としてではなく、人権や社会制度の問題として研究しています。「制度は存在しているのに、なぜ利用できない人がいるのか」という問いから、日本社会の仕組みそのものを考えることができます。
ネパールから日本への移住にも注目
田中教授の専門地域は南アジア、特にネパールです。近年は、ネパールから日本へ移住する人々についても調査しています。
人が国境を越えて移動すると、仕事や教育など新しい可能性が生まれる一方で、言語、医療、子育て、教育など新たな課題に直面することもあります。また、子どもが日本で育った後にネパールへ戻る場合には、今度は現地の言葉や学校生活への適応が課題になることもあります。
移民研究では、「外国人を受け入れるかどうか」という議論だけではなく、実際に移動した人と家族がどのような生活を送り、どのような制度を必要としているのかを見ることが重要です。
国際協力では「支援する側」が正しいとは限らない

国際協力という言葉を聞くと、困っている人を助ける活動を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際の国際協力では、支援する側が考えた方法と、現地の人々が必要としているものが一致するとは限りません。
田中教授は長年の実務経験を通じて、当事者を中心に置くことや、地域で暮らす人々自身による活動に注目してきました。NGOやNPO、市民運動などについて研究しているのもそのためです。
「何をしてあげるべきか」ではなく、「その地域の人は何を望んでいるのか」「すでにどのような活動をしているのか」「外部の人はどのように関われるのか」と問い直すことが、国際協力を学ぶ重要な入口になります。
ジェンダーから社会の「当たり前」を問い直す
田中教授のもう一つの大きな専門がジェンダー論です。ジェンダーというと男女平等について学ぶ分野と思われがちですが、より広く、性別などによって人々にどのような役割や機会の違いが生まれているのかを考えます。
例えば、ある社会で「女性はこう生きるもの」「家族はこうあるべき」と考えられていることも、別の社会では異なるかもしれません。さらに、同じ社会の中でも、国籍、年齢、障害の有無、仕事、家族構成などによって置かれる立場は変わります。
社会の中で当たり前とされている仕組みを一度立ち止まって見直すことによって、それまで見えなかった差別や格差に気づくことがあります。
高校生の身近なところにも研究の入口がある
田中教授の研究テーマは、海外で国際協力活動を経験していなくても考えることができます。
例えば、学校や地域で外国にルーツを持つ人と接した経験、日本語が十分に分からない人への行政サービス、外国人労働者についてのニュースなども入口になります。「日本に住んでいれば同じサービスを受けられるのだろうか」「言葉が違うだけで情報へのアクセスに差が生まれないだろうか」と考えてみることができます。
SNSで移民や外国人についての投稿を見たときにも、一つの情報だけで判断せず、どのような制度や背景があるのか、当事者自身はどのように語っているのかまで調べることで、見え方が変わってくるでしょう。
田中教授のゼミでは社会課題を自分とのつながりから考える
田中教授は現在、「演習(国際協力論)1・2」を担当しています。ゼミでは、性別、国籍、母語、障害、就労状況などの違いによって生まれる差別や格差に気づき、その克服についてソーシャル・アクションの実践を通じて考えます。
特徴的なのは、世界の問題を遠くにいる誰かの問題として終わらせないことです。一見すると自分とは関係がない社会問題でも、日々の消費、制度、選挙、情報発信などを通じて自分たちの生活とつながっています。
国際協力を学ぶことは、海外へ行くことだけではありません。自分が暮らす日本社会について考えることも、グローバルな課題を考える重要な一部なのです。
総合グローバル学科での学びとどうつながる?
田中教授は、市民社会・国際協力論と南アジア地域研究に関わる研究を行っています。移民というテーマ一つをとっても、国際協力、ジェンダー、人権、教育、保健、地域研究、市民社会など複数の分野が関係しています。
総合グローバル学科では、世界規模の人の移動を見る視点と、ネパールや日本など具体的な地域で暮らす人々を見る視点を行き来しながら考えることができます。田中教授の研究は、グローバルな問題とローカルな生活がどのようにつながっているのかを考える一例です。
推薦入試では「助けたい」の先まで考えてみよう

推薦入試を考えている高校生の中には、「国際協力に興味がある」「困っている人を支援したい」と考えている人もいるでしょう。その思いは一つの出発点になりますが、そこで考えることを止めないことも大切です。
なぜその問題が生まれたのか、当事者は何を求めているのか、現在の支援にはどのような課題があるのか、自分が当然だと思っている価値観を相手に押しつけていないか。こうした問いへ広げてみると、自分が大学で学びたい内容がより具体的になります。
田中教授の研究テーマに合わせる必要はありません。教授の研究を知ることを、自分自身の関心を深めるきっかけとして活用してみてください。
田中雅子教授の研究から国際協力の意味を考えてみよう
田中雅子教授の研究を知ると、国際協力とは海外の誰かを一方的に支援することだけではないと分かります。移民、ジェンダー、人権、教育、健康などの問題は、日本で暮らす私たちともつながっています。
普段ニュースで見る社会問題について、「誰が困っているのか」だけでなく、「なぜ困る状況が生まれているのか」「本人たちはどのような声を上げているのか」まで調べてみてください。そこから、総合グローバル学科で取り組んでみたい新しい問いが見つかるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


