
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 権香淑准教授とは?中国朝鮮族と人の移動から東アジアを考える
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「権香淑准教授の研究と、総合グローバル学科で学べる東北アジア地域研究・マイグレーション研究について」です。
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科で、東北アジア地域研究や人の移動について研究しているのが権香淑准教授です。現在、総合グローバル学部総合グローバル学科の准教授として、アジア研究領域を担当しています。専門は、東北アジア地域研究、東アジアの社会と文化、マイグレーション研究、中国朝鮮族研究です。
権香淑准教授が研究する「人の移動」とは?

権准教授の研究を理解するうえで重要なキーワードが「人の移動」です。人はなぜ生まれ育った地域を離れ、別の国や都市へ移動するのでしょうか。その理由には、仕事、進学、家族、政治や社会の変化など、さまざまな事情があります。
権准教授が特に研究しているのが、中国朝鮮族です。中国朝鮮族は、歴史的に朝鮮半島から中国東北地域へ移住した人々とその子孫で、中国の少数民族の一つです。権准教授は1996年に中国延辺朝鮮族自治州を初めて訪れて以来、中国朝鮮族の過去と現在、人々の移動やコミュニティの変化について研究を続けています。
近年の研究では、中国から韓国や日本などへ移動する人々だけでなく、その後再び別の地域へ移る人や、家族の中で親と子が異なる国に暮らすケースなどにも目を向けています。国境を越える人々の暮らしを見ることで、現在の東アジアがどのようにつながっているのかを考えているのです。
国籍・民族・故郷はいつも一つとは限らない
高校生の皆さんは、「どこの国の人ですか」と聞かれたとき、国籍や生まれ育った場所を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際の人々のアイデンティティは、それほど単純ではありません。
例えば、中国で生まれ、中国の国籍を持ちながら、朝鮮民族としての文化的背景を持つ人がいます。その後、韓国で働いたり、日本へ留学したり、さらに別の国へ移動したりすることもあります。住んでいる場所、国籍、使用する言語、家族の歴史、文化的な帰属意識が必ずしも一つの国に重なるとは限りません。
こうした人々の経験を調べることで、「国とは何だろう」「民族とは何だろう」「故郷は一つだけなのだろうか」といった問いが生まれます。権准教授の研究は、人の移動を通して、私たちが当たり前のように使っている国境や民族という枠組みを改めて考えるきっかけを与えてくれます。
中国朝鮮族の研究から東アジア全体を見る
権准教授は、中国朝鮮族だけを切り離して研究しているわけではありません。韓国、朝鮮半島、中国東北地域を中心とした東アジア・東北アジアをフィールドとして、政治、経済、歴史、文化などを踏まえながら地域研究に取り組んでいます。
例えば、仕事を求めて中国から韓国へ移動する人が増えれば、移動した本人だけでなく、中国に残る家族や地域社会にも変化が生まれます。日本へ留学した若者が卒業後に日本、中国、韓国などで仕事をすることもあります。一人の移動を追っていくだけでも、複数の国や地域がつながっていることが分かります。
つまり「中国の問題」「韓国の問題」「日本の問題」と国ごとに分けるだけでは見えにくい現象があるのです。国境を越えて人を見ることは、グローバル化した東アジアを理解する一つの方法になります。
「問いを学び、学びを問う」という姿勢

権准教授は学生へのメッセージで、学問について「問いを学ぶこと」であり「学びを問うこと」でもあると述べています。一度答えを見つけて終わるのではなく、学ぶことで新しい疑問が生まれ、その疑問をさらに調べていく。その繰り返しを大切にしています。
これは高校生の探究活動にもつながる考え方です。例えば「外国人が日本で働く人が増えている」というニュースを見たら、そこで終わらず、「なぜ日本へ来るのだろう」「家族はどこで暮らしているのだろう」「日本で生活する中でどのような経験をしているのだろう」と問いを広げることができます。
調べていくうちに、自分が最初に持っていたイメージと実際の状況が違うことに気づくかもしれません。そのときに問いそのものを見直すことも、学問の大切な過程です。
総合グローバル学科のアジア研究とどうつながる?
権准教授は総合グローバル学部のアジア研究領域に所属しています。大学公式のアジア研究領域でも、権准教授の研究例として「人の移動から東アジアのグローバル化を探る」というテーマが紹介されています。
総合グローバル学科でいうグローバルな視点とは、世界全体だけを見ることではありません。中国朝鮮族という具体的な人々の歴史や家族、生活を詳しく調べ、そこから東アジア全体の変化を考えるように、地域の具体的な現実と世界規模の動きを行き来することも重要です。
人の移動、民族、国籍、アイデンティティ、東アジアの歴史などに関心がある高校生にとって、権准教授の研究は地域研究の面白さを知るよい入口になるでしょう。
高校生なら身近なところから問いをつくってみよう
マイグレーション研究という言葉は難しく感じるかもしれませんが、身近なところにも考える材料があります。外国にルーツを持つ友人との交流、日本で働く外国人についてのニュース、留学、海外旅行、SNSで知った海外の暮らしなども入り口になります。
「国籍と自分が感じるアイデンティティは同じなのだろうか」「移住した人にとって故郷とはどこなのだろう」「親と子が別々の国で暮らすと家族関係はどう変わるのだろう」など、一つ疑問を選んで調べてみるとよいでしょう。
大切なのは、中国、韓国、日本などを単純に比較して優劣をつけることではありません。それぞれの社会の歴史や制度、人々の経験を知り、同じ出来事でも立場によって見え方が違うことを意識することです。
推薦入試を考えるなら自分の関心を深めよう
推薦入試を考えているからといって、権准教授の研究テーマに自分の興味を無理に合わせる必要はありません。教授の研究を調べることは、「大学ではどのような問いを研究できるのか」を知り、自分自身が学びたいことを具体的にするための一つの方法です。
上智大学の公式プロフィールによると、権准教授は上智大学大学院で博士号を取得し、国立国会図書館立法調査局の非常勤調査員、早稲田大学の招聘研究員、韓国・全南大学の研究教授などを経て、2022年から現職に就いています。著書には『〔増補新版〕移動する朝鮮族』や、共編著『中国朝鮮族の移動と東アジア』があります。
気になるテーマがあれば、教授の研究紹介や著書などにも触れながら、「自分はなぜこの問題が気になるのか」「もっと知りたいのは何なのか」を考えてみてください。
権香淑准教授の研究から東アジアを違う角度で見てみよう

権香淑准教授の研究を知ると、東アジアは国境線で区切られた国々の集まりだけではなく、人々が移動し、家族や文化、仕事、学びを通して複雑につながっている地域であることが見えてきます。
普段のニュースでも、「どこの国の出来事か」だけでなく、「そこでは誰が移動し、どのような生活を送っているのか」という視点を加えてみてください。そこから、自分が大学で深く考えてみたいテーマが見つかるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


