上智大学 経済学部 経済学科|長江亮特任助教に学ぶ「労働経済学」と障害と経済の関わり

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・長江亮特任助教の研究から考える、労働経済学と障害と経済の関わり」です。

働くことは、収入を得るためだけではなく、社会とのつながりを持ったり、自分の力を生かしたりすることにも関わります。しかし、誰もが同じ条件で仕事を探し、働けるわけではありません。障害のある人の就労を考えると、本人の能力や希望だけではなく、職場環境、企業の制度、社会保障など、さまざまな要因が関係してきます。

上智大学の最新公式情報によると、長江亮特任助教は経済学部経済学科に所属し、応用ミクロ計量経済学、労働経済学、障害と経済の研究を専門としています。担当科目には、中級計量経済学、社会問題の経済分析、ALS(アクティブ・ラーニング・セミナー)、経済学、マクロ経済学A、計量経済学特論などが掲載されています。 :contentReference[oaicite:0]{index=0}


労働経済学とは「働くこと」を経済学から考える分野

労働経済学とは、雇用、賃金、失業、働き方など、人が働くことに関わるさまざまな問題を経済学の視点から分析する分野です。

例えば、「なぜ職種によって賃金が違うのか」「求人が多い時期と少ない時期があるのはなぜか」「働きたい人と企業の求人がうまく結びつかないのはなぜか」といった問いを考えます。

ここで重要なのは、働く人を一括りにしないことです。年齢、経験、家庭環境、健康状態など、人によって置かれている状況は異なります。障害のある人の就労について考える場合にも、「本人が努力すれば働ける」という単純な話ではなく、職場や制度の側にどのような条件があるのかまで考える必要があります。


「障害と経済」を研究するとはどういうこと?

上智大学大学院経済学専攻の公式情報では、長江特任助教の研究分野として、障害者の生活・就労に関する研究、障害者施策の政策評価研究なども紹介されています。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}

例えば、障害のある人が仕事を探すとき、職場まで移動しやすいか、必要な配慮を受けられるか、仕事内容と本人の希望が合っているかなど、さまざまな条件が関係します。

企業の側にも、「どのような環境を整えれば働きやすくなるのか」「必要な配慮と業務をどのように両立するのか」といった課題があります。

つまり、障害のある人の就労を考えることは、福祉だけの問題ではありません。企業の行動、雇用制度、社会保障、政策など、経済社会全体の仕組みと深くつながっています。


「同じ扱い」がいつでも公平とは限らない

学校生活でも、「全員を同じように扱うことが公平なのか」と考える場面があります。

例えば体育祭の準備で、全員にまったく同じ仕事を割り当てれば形式上は平等です。しかし、得意なことや身体的な条件が異なる人に同じ役割を求めることが、本当に公平だとは限りません。

一方で、必要に応じて役割を変えると、「なぜあの人だけ違うのか」と感じる人がいるかもしれません。

ここから、「平等とは同じ扱いをすることなのか」「一人ひとりが参加しやすくなるよう条件を整えることも公平なのではないか」と問いを深めることができます。

こうした問いに簡単な答えはありません。だからこそ、本人、周囲の人、組織など、複数の立場から考えることが重要になります。


政策は「作っただけ」で終わりではない

障害のある人の就労を支えるために、国や自治体ではさまざまな制度や政策が行われています。しかし、制度が存在しているからといって、必ず期待した結果につながっているとは限りません。

そこで重要になるのが「政策評価」です。政策を実施した後に、実際に就労しやすくなったのか、生活にどのような変化があったのかなどをデータから確かめます。

長江特任助教が専門とする応用ミクロ計量経済学は、人や企業などの行動について、実際のデータと統計的な方法を使って分析する分野です。上智大学公式情報でも、障害と経済の研究とともに、応用ミクロ計量経済学・労働経済学が専門分野として示されています。 :contentReference[oaicite:2]{index=2}

「良い制度だと思う」という印象だけではなく、実際にどのような効果が生まれたのかを確かめるところに、経済学の重要な役割があります。


データを見るときに気をつけたいこと

例えば、ある支援制度を利用した人の就職率が高かったとします。それだけを見れば、「この制度には大きな効果がある」と考えたくなるかもしれません。

しかし、もともと就職への意欲が高い人がその制度を利用しやすかった可能性もあります。別の要因が結果に影響しているかもしれないのです。

大学で計量経済学を学ぶときには、数字を眺めるだけではなく、「この結果は本当に制度の効果なのか」「ほかの要因では説明できないか」と考えていきます。

高校の探究活動でアンケートを行った人も、「回答者が偏っていないか」「質問の仕方によって結果が変わらないか」と考えた経験があるでしょう。そうした慎重な見方も、大学でのデータ分析につながっています。


「社会的弱者」と一括りにしない視点も大切

障害のある人について考えるときに注意したいのは、「障害のある人はみんな同じ状況にある」と考えないことです。

障害の種類や程度、生活環境、希望する働き方、得意なことは一人ひとり異なります。同じ制度でも、ある人には助けになり、別の人には利用しにくい場合があります。

だからこそ、「支援する側が何をしてあげるか」という視点だけではなく、本人はどのような働き方を望んでいるのか、どのような環境なら力を発揮しやすいのかを考えることが大切です。

他者を一つのイメージで決めつけず、本人の立場や意見を知ろうとする姿勢は、経済学だけではなく、社会課題を考えるうえでも欠かせません。


高校までの学びと大学での労働経済学の違い

高校では、雇用、社会保障、障害者福祉などについて制度の概要を学ぶことがあります。大学では、そこからさらに「その制度は実際にどのような効果を持っているのか」と問いを深めます。

例えば、「障害のある人の雇用を増やすべきだ」という目標についても、単に雇用人数だけを増やせばよいとは限りません。働き続けられているか、本人が希望する仕事に就けているか、所得や生活はどう変化したのかなど、さまざまな視点があります。

制度の目的、企業の事情、働く本人の希望などを整理し、データも使いながら現実を分析することが大学での学びにつながります。


推薦入試に向けて身近な疑問から考えてみよう

上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、福祉活動やボランティアの経験が必ず必要というわけではありません。

ニュースで障害者雇用について知ったこと、学校生活の中で合理的な配慮について考えたこと、探究活動で働き方や福祉制度を調べたことなども、関心の出発点になります。

そこから、「誰もが働きやすい職場とはどのようなものだろう」「企業だけに負担を求める方法でよいのだろうか」「制度の効果は何を基準に判断すればよいのだろう」と、自分なりの問いを広げてみてください。

出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときにも、「障害者雇用に関心があります」で終わらせず、何をきっかけに疑問を持ったのか、異なる立場から考える中でどのように見方が変わったのか、大学で何をさらに研究したいのかまで整理してみましょう。


誰もが働きやすい社会とは何かを考えてみよう

障害と経済の問題を考えることは、障害のある人だけのための問題を考えることではありません。

働く時間や場所を柔軟にすること、情報を分かりやすく伝えること、一人ひとりの得意なことを生かすことなどは、さまざまな人にとって働きやすい環境につながる可能性があります。

そして、「誰もが働ける社会」を考えるときには、本人、企業、家族、行政などの立場から見ることが必要です。一つの立場だけでは見えなかった課題や可能性が、対話を通して見えてくることもあります。

働き方や福祉に関するニュースを見かけたら、「この制度によって実際に誰の生活がどう変わるのだろう」と考えてみてください。その小さな疑問が、労働経済学や障害と経済という学問への入り口になるかもしれません。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、職位、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。