
上智大学 経済学部 経済学科|出島敬久教授に学ぶ「労働経済学」と少子化・晩婚化の経済分析
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・出島敬久教授の研究から考える、労働経済学と少子化・晩婚化」です。
「将来どんな仕事に就くのか」「どれくらいの収入を得られるのか」「仕事と家庭をどう両立するのか」。高校生の段階ではまだ先の話に感じるかもしれませんが、働き方や結婚、子育てをめぐる環境は、日本社会全体の経済とも深く結びついています。
上智大学経済学部経済学科の出島敬久教授は、賃金構造と雇用動向、さらに晩婚・少子化に関する応用計量経済分析を研究しています。上智大学経済学部の公式情報では、現在、経済学部経済学科の教授として、労働経済学、人口と成長の経済分析、統計学特講II、労働経済学特講などを担当しています。
労働経済学とは「働くこと」を経済学から考える分野
労働経済学とは、人が働くことに関係するさまざまな問題を経済学の視点から分析する分野です。
例えば、「なぜ職業によって賃金が違うのか」「なぜ景気が悪くなると求人が減るのか」「どのような人が転職しやすいのか」「働く時間と賃金にはどのような関係があるのか」といった問いがあります。
アルバイトを探したことがある人なら、同じ地域でも仕事内容によって時給が違うことに気づいたことがあるかもしれません。その違いは、仕事に必要な技能、人材の集まりやすさ、企業側の需要など、さまざまな要因から生まれます。
大学では、こうした現象を「何となくそうなっている」で終わらせず、理論や統計データを使いながら背景を考えていきます。
賃金の違いにはどんな理由があるのか
出島教授の研究分野には「賃金構造」が含まれています。賃金構造とは、働く人の年齢、経験、職種、産業などによって賃金がどのように異なるのか、その仕組みを考えるものです。
例えば、経験を積むことで賃金が上がる仕事もあれば、特定の資格や専門技能を持っていることが賃金に大きく影響する仕事もあります。
ただし、賃金の差がすべて能力だけで説明できるとは限りません。働く地域や企業の規模、雇用形態なども関係する可能性があります。
「給料が高い仕事だから優れている」「低いから努力が足りない」と単純に判断せず、どのような社会や雇用の仕組みが背景にあるのかを考えることが、労働経済学では重要になります。
晩婚化や少子化を経済学で考える
出島教授は、晩婚・少子化についても応用計量経済分析に取り組んでいます。
少子化というと、「子どもを持たない人が増えたから」と個人の選択だけに原因を求めてしまうことがあります。しかし、実際には働き方や所得、雇用の安定性、住宅費、教育費など、さまざまな経済的条件が関係している可能性があります。
例えば、将来の収入に不安がある人は、結婚や子育てについて慎重に考えるかもしれません。仕事が忙しく、家庭生活との両立が難しい環境も影響する可能性があります。
だからこそ、「若い人の考え方が変わったから」と一つの理由だけで説明するのではなく、社会や経済の条件にも目を向ける必要があります。
少子化対策は何をすれば効果がある?
少子化について考えると、「子育て支援を増やせばよい」と思う人もいるでしょう。しかし、どの支援がどの程度効果を持つのかは、実際に確かめなければ分かりません。
例えば、保育サービスを充実させる方法、経済的な給付を増やす方法、働き方を変える方法など、考えられる政策はさまざまです。
しかも、同じ政策でも人によって受ける影響は異なります。子育て中の家庭と、これから結婚を考える若者では必要な支援が違うかもしれません。
ここで重要になるのが、「誰にとってどのような政策が有効なのか」と多面的に考える姿勢です。一つの解決策ですべての問題がなくなると考えず、複数の可能性を比較することが必要です。
「応用計量経済分析」とは?
出島教授の研究にある「応用計量経済分析」とは、実際の統計データを使って、社会や経済で起きている現象を分析する方法です。
例えば、ある地域で出生率が低下しているとしても、それだけでは原因は分かりません。所得、雇用状況、人口構成などのデータを組み合わせながら、どのような要因が関係しているのかを調べます。
ここで注意したいのが、「二つの数字が同時に変化したから、片方が原因だ」とは限らないことです。別の要因が両方に影響している可能性もあります。
高校の探究活動でアンケートや統計資料を使った経験がある人なら、「データを集めるだけではなく、どう読み取るかが大切」という点はイメージしやすいでしょう。
高校までの学びと大学の労働経済学の違い
高校の公共などでは、少子高齢化、雇用、社会保障といった日本社会の課題について学びます。大学では、そこからさらに「なぜその現象が起きているのか」を理論とデータで検証していきます。
例えば、「非正規雇用が増えている」という事実を覚えるだけでなく、その変化が賃金や結婚、家計、将来の選択にどのようにつながるのかを考えることができます。
また、一つの現象についても、働く本人、企業、家庭、政府など、立場が変われば見え方も変わります。
知識を覚えて終わるのではなく、「なぜ?」「別の立場から見るとどうか」「データでは本当にそうなっているのか」と問いを重ねることが、大学での経済学の学びにつながります。
推薦入試に向けて社会問題を自分の問いに変えてみよう
上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、最初から少子化の原因を説明できる必要はありません。
まずはニュースや身近な会話から、「なぜ若い世代は将来への不安を感じるのだろう」「雇用が安定すると結婚や子育ての選択は変わるのだろうか」「仕事と家庭を両立しやすい社会とはどのようなものだろう」と、自分なりの問いを持ってみてください。
そのうえで、統計資料を調べたり、異なる立場の意見を読んだりしてみましょう。最初は「経済的な理由が一番大きい」と考えていたとしても、調べる中で価値観や制度、働き方など別の要因に気づくこともあります。
出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときにも、「少子化問題に興味があります」で終わらせず、何をきっかけに疑問を持ち、調べる中でどのように考えが深まったのか、大学で何をさらに学びたいのかまで整理してみてください。
「個人の選択」の背景に社会の仕組みを見る
結婚するか、子どもを持つか、どのような仕事を選ぶかは、一人ひとりが考える大切な選択です。その選択に「こうするべき」という一つの答えがあるわけではありません。
一方で、選択肢の広さは、雇用や所得、働き方、社会制度などによって影響を受けることがあります。
だからこそ労働経済学では、個人の判断だけを見るのではなく、その背景にある社会や経済の仕組みにも目を向けます。
少子化や働き方のニュースを見たときには、「若い人がこう考えているから」と一つの理由で決めつけず、「どんな環境がその選択に影響しているのだろう」と考えてみてください。その問いから、労働経済学という学問への興味が広がっていくかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、職位、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


