
上智大学 経済学部 経済学科|堀江哲也教授に学ぶ「環境経済学」と生態系の価値の考え方
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 経済学部 経済学科・堀江哲也教授の研究から考える、環境経済学と生態系の価値」です。
森林、海、川、農地などの自然は、私たちの生活に多くの恵みを与えてくれています。しかし、その価値はスーパーの商品や電車の運賃のように、はっきりとした価格で表されているとは限りません。では、自然を守ることの価値を、社会はどのように考えればよいのでしょうか。
上智大学経済学部経済学科の堀江哲也教授は、環境経済学、資源経済学、生態系経済学、応用ミクロ計量経済分析を研究分野としています。上智大学公式サイトでは、経済学部経済学科の教授として所属し、ミクロ経済学A、CIRCULAR ECONOMY AND SUSTAINABLE BUSINESS、環境経済学特講、ミクロ経済学特講IIIなどを担当していることが確認できます。
環境経済学とは何を考える学問?
環境経済学とは、環境問題と経済活動の関係を考える分野です。環境を守ることは大切ですが、企業の生産や私たちの消費活動をすべて止めることは現実的ではありません。
そこで、「経済活動を続けながら、どうすれば環境への負担を減らせるのか」「環境を守るために、どのような制度や仕組みが必要なのか」と考えていきます。
例えば、工場が製品を生産することで利益を得る一方、大気や水を汚してしまえば、周辺で暮らす人や自然環境が負担を受ける可能性があります。このように、経済活動の利益と環境への影響を一緒に考えるのが環境経済学の重要な視点です。
限りある資源をどう使うかを考える資源経済学
堀江教授の研究分野には資源経済学も含まれています。資源経済学では、森林、水産資源、エネルギーなど、限りのある自然資源をどのように利用し、将来へ残していくかを考えます。
例えば魚をたくさん獲れば、現在の漁業者の収入は増えるかもしれません。しかし、獲りすぎによって魚の数が大きく減れば、数年後には漁業そのものを続けにくくなる可能性があります。
森林も同じです。木材を利用することには経済的な価値がありますが、森林には水を蓄えたり、生物のすみかになったりする役割もあります。
「今どれくらい使うべきなのか」「未来の世代にどれくらい残すべきなのか」という、現在と将来のバランスを考えることが資源経済学の大切なテーマです。
値段のついていない自然の価値をどう考える?
堀江教授は、生態系経済学にも取り組んでいます。上智大学公式情報では、環境資源経済学、生態系経済学、農業経済学、食料経済分野における実証的分析が研究分野として紹介されています。
例えば、きれいな海辺を散歩できること、森林が洪水を防ぐこと、生態系が農作物の生産を支えることなどには、私たちの生活にとって大きな価値があります。
しかし、それらには必ずしも市場で値段がついていません。そのため、開発によって自然が失われる場合、「何を失うことになるのか」が経済的な判断の中で十分に表れない可能性があります。
そこで、自然環境が私たちにもたらす利益をできるだけ明らかにし、政策や開発の判断に生かそうとする考え方があります。
自然に値段をつけることには違和感もある
「自然の価値をお金に換算する」と聞くと、「自然はお金では測れないのでは」と感じる人もいるでしょう。その疑問はとても大切です。
経済学で自然の価値を考えることは、「お金さえ払えば自然を壊してよい」という意味ではありません。むしろ、これまで数字に表れにくかった自然の重要性も政策判断の中に入れようとする考え方です。
例えば、新しい施設を建設すると地域に雇用が生まれる一方、貴重な湿地が失われるとします。建設による経済効果だけを数字で示し、湿地の価値をゼロとして扱えば、判断が一方に偏ってしまいます。
だからこそ、「経済的な利益だけで判断してよいのか」「自然の価値をどう表せばよいのか」と、多面的に考える必要があります。
循環型経済とはどんな考え方?
堀江教授の担当科目には、CIRCULAR ECONOMY AND SUSTAINABLE BUSINESSがあります。Circular Economyは、日本語では「循環型経済」などと訳されます。
これまでの経済では、資源を取り出し、商品を作り、使い終わったら捨てるという流れが多く見られました。循環型経済では、修理、再利用、リサイクルなどによって、資源をできるだけ長く使い続けることを目指します。
例えば、まだ使える服を捨てずに再利用する、使用済みの商品から原材料を回収する、といった取り組みがあります。
ただし、「リサイクルすればすべて解決する」と単純に考えることもできません。回収や再加工にもエネルギーや費用が必要だからです。どの方法が本当に環境負荷を減らせるのかを考えることが重要です。
データを使って環境政策の効果を確かめる
堀江教授は応用ミクロ計量経済分析にも取り組んでおり、上智大学の研究情報では、環境保全型農業への補助政策、農業政策、炭素価格政策、食の安全などに関する研究テーマも確認できます。
例えば、「環境に配慮した農業に補助金を出せば、環境保全につながる」という考え方があったとしても、本当に農家の行動が変わったかを確かめる必要があります。
制度を導入した後のデータを分析し、どの程度効果があったのか、予想していなかった影響はなかったのかを検証します。
環境問題について「良いことをしよう」と考えるだけでなく、その政策が本当に目的を達成しているのかを根拠から確認する姿勢が、大学での学びにつながります。
高校までの環境学習と大学での学びの違い
高校では、地球温暖化、生物多様性、ごみ問題などについて学ぶ機会があります。大学では、その問題をさらに「人や企業はなぜその行動を取るのか」「制度を変えれば行動はどう変わるのか」というところまで考えていきます。
例えば、「プラスチックごみを減らすべきだ」というところで終わらず、使用を禁止するのか、価格を上げるのか、代替商品を普及させるのかによって、企業や消費者の行動がどう変わるかを考えます。
環境を守るという目的が同じでも、方法には複数の選択肢があります。だからこそ、一つの立場だけではなく、消費者、企業、地域住民、将来世代などから問題を見ることが大切です。
推薦入試に向けて身近な環境問題から問いを作ろう
上智大学経済学部経済学科の推薦入試を考えている人も、特別な環境保護活動を経験している必要はありません。
学校でSDGsについて調べたこと、ごみの分別に疑問を持ったこと、海洋プラスチックや森林破壊のニュースを見たことなども、興味の入り口になります。
そこから、「自然を守る費用は誰が負担するべきなのか」「開発と環境保護はどこまで両立できるのか」「将来世代の利益を現在の政策にどう反映するのか」と問いを深めてみてください。
出願書類や面接で問われる志望理由を整理するときにも、「環境問題に関心があります」で終わらせず、何に疑問を感じたのか、調べる中でどのような別の立場に気づいたのか、大学で何をさらに考えたいのかまで整理すると、自分の学びたいことがより明確になります。
自然を守ることと経済を動かすことを一緒に考えてみよう
環境経済学は、「経済活動か自然保護か」という単純な二択を考える学問ではありません。私たちの生活や産業を支えながら、自然環境や限られた資源をどう未来へつないでいくのかを考える学問です。
そのためには、現在の利益だけではなく、将来世代の立場にも目を向ける必要があります。また、「環境を守ればよい」という一つの意見だけでなく、地域で働く人、企業、消費者など、異なる立場を理解しながら考えることも大切です。
次に身近な環境問題を目にしたら、「この自然にはどんな価値があるのだろう」「それを守るための負担を誰が引き受けるべきなのだろう」と考えてみてください。その問いが、環境経済学や資源経済学という学問への入り口になるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト、上智大学経済学部公式サイト、上智学院教員教育研究情報データベース等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。教員の所属、職位、研究分野、担当科目、カリキュラム、入試制度などは今後変更・更新される場合があります。受験を検討している方は、本記事の情報だけで判断せず、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
KOSSUN教育ラボでは、上智大学の推薦入試対策に特化した
上智大学合格プロジェクト
を完全定員制(先着10名限定)にて設け、専門性の高い個別サポートを行っています。
限られた時間の中でも本気で上智大学合格を掴み取りたい方は、今すぐ 無料個別相談会 にお申し込みください。
※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


