上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|藤田正博教授のイオン液体・次世代蓄電池研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の藤田正博教授と、イオン液体を活用した次世代蓄電池・セルロース材料の研究」です。

スマートフォンやノートパソコン、電気自動車など、私たちの生活にはさまざまな蓄電池が使われています。一方、植物に含まれるセルロースのように、身近にありながら新しい材料として活用できる天然資源もあります。一見すると別々に見える「電池」と「植物由来材料」を、イオン液体などの材料を通して研究しているのが、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の藤田正博教授です。


藤田正博教授はどのような研究者?

上智大学の公式情報によると、藤田正博教授の主な研究テーマは「イオン液体と高分子を用いた機能材料の開発」です。研究キーワードとして、セルロース、バイオマス、燃料電池、リチウムイオン電池、柔粘性結晶、高分子電解質、イオン液体などが挙げられています。

藤田教授は東京農工大学で博士(工学)の学位を取得しています。現在は上智大学 理工学部 物質生命理工学科の教授として、次世代型蓄電池の開発と機能性セルロース材料の創製などに取り組んでいます。

研究の大きな特徴は、ある材料が持つ性質を詳しく理解し、それを社会で役立つ新しい機能へと結びつけていることです。物質生命理工学科で学べる「物質を理解し、新しい機能を引き出す」という考え方をイメージしやすい研究の一つといえるでしょう。


研究の鍵となる「イオン液体」とは?

藤田教授の研究を理解するために知っておきたいのが「イオン液体」です。

上智大学の研究紹介では、イオン液体は陽イオンと陰イオンのみから構成される液体と説明されています。一般的な液体とは異なる特徴を持ち、加熱しても蒸発しにくいことなどから、さまざまな材料研究への利用が進められています。

高校化学では、陽イオンや陰イオン、電解質などについて学びます。しかし大学では、「どのようなイオンを組み合わせれば、どのような性質を持つ物質になるのか」というところまで考えます。

つまり、すでに存在する物質の性質を覚えるだけではありません。物質を構成する要素と性質の関係を調べ、目的に応じた材料をつくるという発想へと学びが発展していきます。


安全で高性能な次世代蓄電池を目指す研究

藤田教授は、イオン液体、柔粘性イオン結晶、高分子固体電解質などを使った電解質材料の開発を進めています。上智大学の公式教員紹介では、リチウムイオン電池だけでなく、ナトリウムイオン電池やマグネシウムイオン電池などの次世代型蓄電池についても研究していることが紹介されています。

電解質とは、電池の内部でイオンが移動するために重要な役割を担う材料です。電池というと正極や負極に目が向きがちですが、電解質の性質も電池の性能や安全性に深く関係しています。

なかでも藤田教授が研究している「柔粘性イオン結晶」は、固体でありながら内部の分子やイオンに運動性があるという特徴を持つ材料です。藤田教授は柔粘性結晶研究会の設立にも関わり、その基礎的な性質の理解と固体電解質への応用を研究しています。

高校で電池を学んだときに、「なぜイオンが動くと電気を取り出せるのか」「電池の材料を変えると性能はどう変わるのか」と疑問を持ってみると、大学での研究へとつながる入口になります。


植物のセルロースから新しい材料をつくる

藤田教授のもう一つの重要な研究テーマが、セルロースの有効活用です。

セルロースは植物を構成する代表的な成分で、木材や植物繊維などに含まれる天然の高分子です。高分子とは、多数の小さな分子がつながってできた大きな分子のことで、身近なプラスチックなども高分子材料の仲間です。

藤田教授は、イオン液体を利用したセルロース誘導体やセルロースゲルの作製・評価に取り組んでいます。上智大学の公式情報では、セルロースヒドロゲルを作製し、バイオマテリアルとして検討する研究も紹介されています。

ここで大切なのは、「天然素材だから環境に良い」と単純に考えないことです。原料の入手方法、加工に必要なエネルギー、耐久性、再利用のしやすさなど、材料を社会で利用するためには複数の視点から考える必要があります。

物質の性質だけでなく、その利用方法や社会との関係まで考えることも、理工学の重要な視点です。


高校の化学は大学でどう発展する?

藤田教授の研究には、高校で学ぶ化学との接点が数多くあります。

イオン、電池、酸化還元、高分子、化学結合など、高校ではそれぞれ別の単元として学ぶ内容が、大学では一つの研究テーマの中で結びついていきます。

たとえば「リチウムイオン電池について調べました」で終わるのではなく、「なぜリチウムイオンが使われているのだろう」「別のイオンを使うと何が変わるのだろう」「液体ではなく固体の電解質を使うには、どのような性質が必要なのだろう」と問いを発展させてみましょう。

セルロースについても同じです。「植物由来だから興味がある」というところから、「なぜセルロースは加工しにくいのか」「イオン液体を使うと何が変わるのか」「天然資源から求める機能を持った材料をどう設計するのか」と考えることで、大学での研究に近づいていきます。


身近な疑問から探究を始めてみよう

藤田教授の研究に興味を持った高校生が、最初から柔粘性結晶や高分子電解質について詳しく知っている必要はありません。

たとえば、「スマートフォンの電池はなぜ劣化するのだろう」「電気自動車が増えると電池材料はどれくらい必要になるのだろう」「植物からつくった材料は石油由来の材料と何が違うのだろう」といった身近な疑問も立派な出発点です。

そこから教科書を読み直したり、大学の研究紹介を調べたり、科学記事や論文の概要を読んだりしてみましょう。調べる中で最初の考えと違う事実が見つかったなら、それも大切な探究の一部です。

科学では、自分の予想に合う情報だけを集めるのではなく、データや根拠をもとに考え直すことが重要だからです。


推薦入試では自分の興味との接点を整理しよう

推薦入試に向けて教員の研究を調べるときは、「藤田教授の研究がすごいから学びたい」という説明だけで終わらせないようにしましょう。

大切なのは、自分が何に興味を持ち、なぜその疑問を持つようになり、それが上智大学 理工学部 物質生命理工学科の学びとどうつながっているのかを整理することです。

たとえば、化学の授業で電池に興味を持った経験があるなら、「電池が好きです」から一歩進んで、「安全性や性能は材料によってどのように変わるのか」「リチウム以外の元素を利用する蓄電池にはどのような可能性と課題があるのか」と考えてみることができます。

探究活動や科学部などの大きな実績がなければいけないわけではありません。日常の疑問から調べ始め、そこから何を考えたのかを自分の言葉で整理することが、出願書類や面接に向けた準備にもつながります。


一つの材料から広がる研究の可能性

藤田正博教授の研究を見ていくと、イオン液体という一つの材料への関心が、次世代蓄電池やセルロース加工など、異なるテーマへ広がっていることが分かります。

上智大学 理工学部 物質生命理工学科を考えている人は、「化学が得意かどうか」だけで学科との相性を判断するのではなく、「物質の性質をもっと深く知りたい」「身近な製品を支える材料の仕組みを知りたい」「資源やエネルギーの問題を材料の視点から考えたい」といった自分自身の疑問にも目を向けてみてください。

高校で学んでいるイオンや電池、高分子の知識が、大学ではどのような研究へ発展しているのかを調べると、物質生命理工学科で学びたいことがより具体的に見えてくるはずです。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。