
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|原田真至准教授の次世代触媒・有機合成研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の原田真至准教授と、次世代触媒による新しい有機合成の研究」です。
高校の化学で「触媒」という言葉を学んだことがある人は多いでしょう。触媒は化学反応を進みやすくする重要な存在ですが、大学の研究では、すでに知られている触媒を使うだけではなく、「これまで難しかった反応を可能にする触媒そのものを設計する」というところまで研究が広がります。
2026年4月に上智大学 理工学部 物質生命理工学科へ着任した原田真至准教授は、有機合成化学や触媒化学を中心に、ランタノイド、光反応、計算化学などを組み合わせながら、新しい触媒や反応の開拓に取り組んでいます。
原田真至准教授はどのような研究者?

上智大学の公式情報によると、原田真至准教授の研究分野は有機合成化学と薬系化学・創薬科学です。研究キーワードには、有機合成化学、触媒化学、ランタノイド、ニッケル、希土類金属、光反応、不斉触媒、計算化学などが挙げられています。
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、原田准教授の研究を「有機合成と計算化学の協奏:次世代触媒設計による精密分子変換プロセスの開拓」と紹介しています。
原田准教授は東京大学薬学部薬学科から同大学大学院薬学系研究科へ進み、2007年に博士(薬学)を取得しています。その後、千葉大学大学院薬学研究院などで研究を続け、2026年4月から上智大学 理工学部 物質生命理工学科の准教授を務めています。
つまり、薬学を背景に持ちながら、分子をどのようにつくり、どのような反応によって目的の構造へ変換するのかを研究してきた先生です。
「新しい触媒をつくる」とはどういうこと?
触媒は、化学反応を考えるうえで重要な存在です。高校化学では「反応の前後でそれ自身は変化せず、反応速度を変化させる物質」といった形で学びますが、大学ではさらに踏み込んで、触媒の構造や電子の状態、反応物との相互作用などを考えます。
原田准教授が注目しているものの一つが、セリウムなどの希土類元素です。原田准教授は、ランタノイドの特性に着目した新しい触媒の研究を進めてきました。
2026年には、希土類元素セリウムを利用し、反応の途中で機能を切り替える新しい触媒に関する研究が表彰されています。複数の化学反応を効率的につなぎ、複雑な分子を合成する技術へ発展させることが研究の狙いです。
高校生の段階では、ランタノイドの詳しい電子状態まで理解する必要はありません。「元素によって性質が異なるのはなぜだろう」「その違いを利用すると、これまで難しかった反応を起こせるのではないか」と考えてみると、研究の入口が見えやすくなります。
複数の反応をつなげる「オートタンデム触媒」
原田准教授の研究を知るうえで、もう一つ注目したいのが「オートタンデム触媒」です。
複雑な分子を合成するときには、一つの反応だけで完成するとは限りません。ある反応を行い、生成物を取り出し、次の反応を行うというように、複数の工程が必要になることがあります。
原田准教授が研究する触媒技術では、一つの触媒系が複数の役割を担い、異なる反応を連続して進めることが目指されています。上智大学は2026年の受賞研究について、セリウムの性質を生かした独自の触媒技術を発展させ、化学製品を効率的につくる実用的な技術として確立することを目指す研究だと紹介しています。
化学反応の工程を効率化することは、単に「早くつくれる」という話だけではありません。使用する物質やエネルギー、生成する廃棄物なども考える必要があります。新しい合成法を考えることは、化学と環境や産業との関係を考えることにもつながります。
実験だけではなく「計算化学」も使う

原田准教授の研究テーマには「計算化学」も含まれています。
化学研究というと、白衣を着てフラスコを使う実験を想像するかもしれません。しかし現在の化学では、コンピュータによる計算も重要な研究手法です。
化学反応では、分子同士が出会い、結合が切れたり、新しい結合が生まれたりします。その途中で何が起きているのかは、目で直接見ることができません。そこで、理論や計算を利用して分子の状態や反応の進み方を調べ、実験結果と照らし合わせることがあります。
上智大学が原田准教授の研究を「有機合成と計算化学の協奏」と表現している点にも注目してみましょう。実験か計算かのどちらか一方だけではなく、異なる方法を組み合わせながら化学反応を理解し、新しい触媒設計へつなげていく研究なのです。
高校化学の学習を「研究の問い」に変えてみよう
原田准教授の研究は高度ですが、その入口には高校化学との接点があります。
たとえば、有機化学でさまざまな化合物の反応を学んだとき、「なぜこの条件では反応するのに、別の条件では反応しないのだろう」と疑問を持った経験はないでしょうか。
触媒について学んだときなら、「触媒を変えるとなぜ反応の進み方が変わるのか」「目的の物質だけを効率よくつくるにはどうすればよいのか」と問いを発展させることができます。
また、探究活動で環境問題を調べた経験があれば、「化学製品をつくらない」という単純な結論だけではなく、「必要な化学製品を、より少ない工程や資源でつくる方法はないか」と考えることもできます。
こうした問いは、有機合成、触媒、計算化学、環境負荷といった原田准教授の研究につながっていきます。
物質生命理工学科だからこそ広がる化学の見方
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを複合的に学び、原子・分子から高分子、生命現象まで幅広い対象を扱っています。
原田准教授の研究も、「有機化学だけを学べばよい」というものではありません。分子の構造、元素の性質、反応の仕組み、計算による解析、さらに合成技術が社会や環境へ与える影響など、複数の視点が関わっています。
2026年度の履修情報では、原田准教授は「物質生命理工学実験A」の担当教員にも含まれています。大学では教科書の知識を覚えるだけではなく、実際の実験や観察、計算、考察を通して、結果を根拠に考える姿勢を身につけていきます。
推薦入試に向けて研究内容をどう生かす?
推薦入試の準備として教授の研究を調べるとき、「原田准教授の研究が最先端だから学びたい」という説明だけで終わらせないことが大切です。
まず、自分の出発点を振り返ってみましょう。化学実験で予想外の結果が出た、有機化学の反応が面白かった、環境負荷の小さいものづくりに興味を持ったなど、きっかけは身近なもので構いません。
そこから「なぜそうなるのか」を調べ、自分なりの疑問をつくってみます。そして、上智大学 理工学部 物質生命理工学科ではどのような研究が行われているのかを調べ、自分の興味との接点を探してみましょう。
研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。むしろ、現在の興味がどこから生まれ、調べる中でどのように変化・発展してきたのかを整理することが、出願書類や面接で自分の考えを伝える準備につながります。
「反応を覚える」から「反応をつくる」化学へ

高校では、すでに知られている化学反応を学ぶことが中心です。しかし大学の研究では、その知識を使って「もっと効率のよい反応はつくれないか」「別の触媒なら何が起こるのか」「なぜこの反応が進むのか」と、新しい問いに挑戦していきます。
原田真至准教授の研究を調べると、触媒という高校化学でも登場するテーマが、有機合成、希土類元素、計算化学、創薬や持続可能なものづくりへと広がっていくことが分かります。
ぜひ自分が高校で学んでいる化学の中から、「もっと知りたい」と思える現象を一つ探してみてください。その疑問を深めることから、自分の興味と上智大学 理工学部 物質生命理工学科での学びとの接点が見えてくるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。

