上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|林謙介教授の神経細胞・神経発生学の研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の林謙介教授と、神経細胞が形づくられていく仕組みの研究」です。

私たちの脳には、多数の神経細胞が存在し、それぞれが突起を伸ばしてネットワークを形成しています。しかし、最初から複雑な形をしているわけではありません。神経細胞は発生・成長の過程で形を変えながら、情報を受け取ったり伝えたりするための構造をつくっていきます。その仕組みを細胞レベルで研究しているのが林謙介教授です。


林謙介教授が研究する「神経細胞の形」とは

林謙介教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科で神経科学、神経細胞の形態形成と機能分化を研究しています。上智大学の研究報告では、研究分野として神経発生学、細胞生物学が示され、神経細胞の突起形成、細胞骨格、脳の進化などがキーワードとして挙げられています。

神経細胞というと、「脳の中で電気信号を伝える細胞」というイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、神経細胞が正しく情報をやり取りするためには、その特徴的な形が重要です。

神経細胞には、ほかの細胞から情報を受け取る樹状突起などがあります。脳が発達する過程では、このような突起が成長し、複雑なネットワークを形成していきます。林教授は、その形がどのようにつくられるのかを研究しています。


細胞の中にある「骨組み」に注目する

林教授の研究を理解するための重要なキーワードが「細胞骨格」です。

私たちの体に骨格があるように、細胞の内部にも形を支えたり、細胞内で物質を移動させたりする構造があります。その一つが「微小管」です。非常に細い管状の構造で、細胞の形や内部の物質輸送などに関わっています。

神経細胞が長い突起を成長させるためには、この微小管が適切につくられ、配置される必要があります。上智大学が公開している2024年度の研究報告では、林教授の研究テーマとして、ニューロンの発生における微小管関連タンパクの働きと進化が示されています。

さらに、脳が発達するには樹状突起が成長する必要があり、そのためには樹状突起の内部で微小管の本数が増えることが重要だと説明されています。神経細胞の「形」を調べることが、脳がどのようにつくられるのかという大きな問いにつながっているのです。


「脳の進化」という視点にも研究が広がる

林教授の近年の研究では、神経細胞の形成だけでなく「脳の進化」もキーワードになっています。

2024年度の研究報告には、脳の成長に関与する微小管切断酵素カタニンの脊椎動物における分子進化や、ニューロンの分化を可視化する仕組みに関する研究課題なども掲載されています。

ここから見えてくるのは、単に神経細胞を顕微鏡で観察するだけではなく、「神経細胞を形づくる分子の仕組みはどのように成り立っているのか」「その仕組みは生物の進化の中でどのように変化してきたのか」と、複数の階層から生命現象を考える研究です。

一つの細胞の内部で起こる現象から、脳という器官、さらに生物の進化へと問いを広げられるところに、生命科学の面白さがあります。


高校生物の知識が研究の問いに変わる

高校の生物では、細胞の構造、遺伝子、タンパク質、発生、神経系などについて学びます。教科書では、それぞれを別々の単元として勉強することも多いでしょう。

大学の研究では、それらの知識を組み合わせながら一つの生命現象を考えます。たとえば「神経細胞はなぜあのような形になるのか」という疑問を考えるだけでも、細胞骨格をつくるタンパク質、遺伝子の働き、細胞の分化、発生など、さまざまな知識が関係します。

高校の授業で神経細胞の図を見たときに、「なぜ普通の細胞とはこんなに形が違うのだろう」と疑問を持ったことも、大学での研究につながる出発点になります。

生物の用語をたくさん覚えていることだけが重要なのではありません。「この構造にはどんな意味があるのだろう」「形ができる途中では何が起きているのだろう」と問いを立てることで、高校で学んだ知識が研究へと発展していきます。


物質生命理工学科で生命を研究する意味

上智大学 理工学部 物質生命理工学科は、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを包括的・複合的に学び、原子・分子から高分子、生命現象までを扱う学科です。

そのため、「物質生命」という名称を化学や材料だけの学科だと考えるのは適切ではありません。公式カリキュラムでも生命に関する学びが位置づけられており、実験・演習を含めて専門性を深めていきます。

林教授の研究も、脳全体を外側から眺めるだけではなく、神経細胞を構成するタンパク質や細胞内の構造へと視点を細かくしていきます。「脳はどう発達するのか」という問いを、細胞や分子のレベルから考えられることが、物質生命理工学科で生命を研究する面白さの一つです。


高校での経験から研究テーマを考えてみよう

推薦入試を考えている高校生にとって、林教授の専門用語をすべて理解する必要はありません。それよりも、自分が生命現象の何に疑問を感じているのかを考えてみましょう。

たとえば、生物の授業で神経系について学んだことをきっかけに脳の発達へ興味を持った人なら、「神経細胞同士のネットワークはどのようにつくられるのか」と問いを広げられます。

顕微鏡観察が印象に残っている人なら、「細胞の形は何によって決まるのか」「同じ個体の細胞なのに、なぜ神経細胞と筋肉の細胞では形が大きく異なるのか」と考えてみてもよいでしょう。

科学部や探究活動など特別な経験がなければ研究への関心を示せない、ということではありません。授業、ニュース、身近な疑問から興味を持ち、自分で調べて新しい疑問が生まれたという過程も、大学で学びたいことを整理する材料になります。


推薦入試では「先生の研究を知っている」で終わらせない

教授紹介を推薦入試の準備に生かすときに意識したいのは、「林教授が神経細胞を研究しているから興味があります」だけで終わらせないことです。

なぜ神経細胞に興味を持ったのか、高校で何を学んだのか、調べる中でどんな疑問が生まれたのか、その疑問を上智大学 理工学部 物質生命理工学科でどのように深めたいのか、と順番に考えてみましょう。

たとえば、「脳科学に興味がある」という大きな関心から出発しても構いません。そこから「脳を構成する神経細胞そのものを知りたい」「神経細胞が複雑な形になる仕組みに興味がある」と具体化していけば、自分の問題意識と大学の研究との接点が見えやすくなります。

研究テーマを高校生の段階で完全に決める必要はありません。教授の研究を調べることは、自分が何に面白さを感じるのかを発見する作業でもあります。


一つの神経細胞から「生命の仕組み」を考えてみよう

林謙介教授の研究は、神経細胞の突起や微小管といった非常に小さな世界を扱いながら、脳の発達や進化という大きなテーマへつながっています。

高校の生物で神経細胞や細胞骨格を学んだら、用語を覚えるだけで終わらず、「この形はどうやってできるのだろう」と考えてみてください。そこから論文や上智大学の研究紹介を調べれば、教科書の内容が現在進められている研究とつながっていることに気づくかもしれません。

自分の身近な疑問を少し深く調べてみることが、上智大学 理工学部 物質生命理工学科で何を学びたいのかを考える第一歩になります。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。