
上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|橋本剛教授の分子認識・超分子化学の研究とは
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の橋本剛教授と、分子やイオンを見分ける超分子化学・分析化学の研究」です。
私たちの身の回りには、肉眼では確認できないほど小さな分子やイオンが数多く存在しています。では、特定の分子だけを見つけ出したいとき、化学ではどのような方法を使うのでしょうか。橋本剛教授の研究を知ると、高校で学ぶ化学が「物質を見分ける技術」へ発展していく面白さが見えてきます。
橋本剛教授が研究する「分子認識」とは

橋本剛教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の教授です。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「金属錯体または電気化学を用いた新しい分離・分析法の開発」が紹介されています。
研究分野は分析化学、錯体化学、超分子化学などで、金ナノ粒子、分子認識、電気化学、シクロデキストリン、超分子錯体などが研究キーワードとして挙げられています。橋本教授は上智大学で学士・修士・博士(理学)の学位を取得し、2023年4月から教授を務めています。
研究の大きなキーワードとなる「分子認識」とは、さまざまな物質が混ざっている中から、特定の分子やイオンを選択的に認識する仕組みです。たとえば、形や電荷、分子同士の相互作用などを利用して、目的とする物質を見分けます。
超分子化学で「分子を見分ける仕組み」をつくる
橋本教授の研究を理解するうえでもう一つ重要なのが「超分子化学」です。
一つの分子だけを見るのではなく、複数の分子が比較的弱い相互作用によって集まり、まとまった構造や機能を生み出す仕組みを研究する分野です。橋本教授は、有機化合物や金属錯体を合成し、それらをシクロデキストリンなどの包接化合物やナノ粒子と組み合わせた超分子複合体を研究しています。
シクロデキストリンは、内部に空間を持った環状の分子です。その空間に別の分子を取り込む性質があるため、「どのような分子を取り込むのか」「取り込んだときにどのような変化が起こるのか」を利用して、分子を検出する仕組みを設計できます。
実際に橋本教授は、シクロデキストリンを用いた超分子化学センサーの研究にも取り組んでいます。
目に見えない変化を光や電気の信号として捉える
目的の分子を認識できたとしても、その出来事自体は肉眼では見えないことがあります。そこで重要になるのが、分子レベルで起きた変化を、人間が測定できる信号へ変えることです。
橋本教授の研究では、分光学的測定や電気化学測定が利用されています。分光学的測定では、物質が光をどのように吸収したり発したりするかを調べます。一方、電気化学測定では、物質の反応に伴う電流や電位などの変化を測定します。
つまり、「ある分子が結合した」という目に見えない出来事を、光や電気の変化として読み取れるようにするわけです。こうした考え方は化学センサーの基礎にもつながっています。
細菌や生体関連分子の検出にもつながる研究
上智大学の公式情報では、橋本教授の研究について、細菌や生体関連分子をターゲットとして、分子認識部位を持つ超分子複合体や金属錯体を開発し、分光学的・電気化学的に評価していることが紹介されています。
2024年度の研究報告でも、生体内で重要な役割を担う小分子の認識や、細菌などの認識に関する研究が確認できます。
ここで大切なのは、「特定の物質を検出する」といっても、単純に見つければよいわけではないということです。似た性質を持つ別の物質が存在する中で、目的の対象をどのように選択的に認識するかを考えなければなりません。
そのためには、分子の構造、電荷、化学反応、分子間の相互作用など、さまざまな視点から仮説を立て、実験によって確かめていく必要があります。
高校化学の「分析」は大学でどう発展する?

高校化学でも、沈殿反応や中和滴定、酸化還元反応などを通して、物質の種類や量を調べる方法を学びます。橋本教授の研究は、こうした「物質をどう見分けるのか」という問いを、分子レベルまで深めたものとして考えることができます。
たとえば高校の実験で、ある試薬を加えると色が変わった経験がある人もいるでしょう。そこで「なぜこの物質があると色が変わるのか」「似た物質が混ざっていたらどうなるのか」「もっと少ない量でも検出するにはどうすればよいのか」と疑問を広げると、大学で扱う分析化学への入り口になります。
高校では教科書に書かれた反応を確認する実験が中心でも、研究では目的に合った分子そのものを設計・合成し、その性能を測定して確かめることがあります。「測る方法を使う」だけでなく、「新しい測り方をつくる」ことも化学研究なのです。
物質生命理工学科だから見えてくる化学と生命の接点
上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学などを幅広く学びながら、物質と生命に関わるさまざまな課題へつながる専門分野を学んでいきます。
橋本教授の研究も、錯体化学や超分子化学といった「物質」の研究から、生体関連分子や細菌をどのように認識・検出するかというテーマへつながっています。
そのため、「化学と生命科学のどちらか一方だけを選ぶ」という発想ではなく、化学的な仕組みを使って生命に関係する対象をどのように調べられるのか、と分野を横断して考えることもできます。
推薦入試に向けて研究内容をどう考える?
上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、先生の研究テーマを単に暗記するのではなく、自分の興味との接点を探してみましょう。
たとえば「化学実験が好きです」だけで終わらせず、「実験で色が変化する理由を調べたことから、物質を識別する仕組みに興味を持った」「生物の授業をきっかけに、体内の特定の分子を化学的に見分ける方法に関心を持った」など、自分が疑問を持ったきっかけを振り返ることができます。
さらに、「なぜその物質だけを認識できるのだろう」「認識したことをどのように信号へ変えるのだろう」と問いを深めていけば、橋本教授の分子認識や分析化学の研究とのつながりも見えてきます。
高校生の段階で研究テーマを完全に決める必要はありません。大切なのは、身近な疑問から出発して調べ、自分が大学でさらに知りたいことを少しずつ具体化していくことです。
身近な「どうやって見分ける?」から研究を調べてみよう

橋本教授の研究を知ると、分析化学は単に成分を測定するだけの学問ではなく、「目的の分子をどう認識し、その情報をどう取り出すのか」という奥深い研究分野であることが分かります。
普段は見えない分子やイオンを、分子同士の相互作用、光、電気などを利用して捉える。その仕組みを一から設計するところに、物質生命理工学の面白さがあります。
ぜひ高校で学んでいる化学や生物を振り返りながら、「この反応はなぜ特定の物質に起こるのだろう」「目に見えない物質をどうやって測っているのだろう」と、自分なりの疑問を探してみてください。その問いから、上智大学 理工学部 物質生命理工学科で学びたいことが見えてくるかもしれません。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


