上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|田中邦翁准教授の大気圧プラズマ・表面改質研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の田中邦翁准教授と、大気圧プラズマを利用した表面改質・薄膜形成の研究」です。

身の回りの製品には、異なる材料を貼り合わせたり、表面に薄い膜をつけたりする技術が数多く使われています。しかし、材料によっては接着剤がつきにくかったり、求める機能を表面に持たせることが難しかったりします。田中邦翁准教授は、「プラズマ」と呼ばれる特殊な状態を利用し、固体表面の性質を変えたり、薄い膜を形成したりする研究に取り組んでいます。


田中邦翁准教授の専門はエネルギー・プラズマ科学

田中准教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科の准教授です。上智大学公式サイトでは、主な研究テーマとして「エネルギー/プラズマ科学」が掲げられており、大気圧グロープラズマの発生機構や、大気圧グロープラズマによるポリマー薄膜の堆積機構などを研究しています。

学士、修士、博士(工学)の学位はいずれも上智大学で取得しています。研究キーワードには、大気圧グロープラズマ、フッ素系樹脂、脱フッ素化、薄膜堆積などがあります。

高校の物理や化学で学ぶ気体、電気、原子や分子の知識も、大学では材料表面を変える技術へとつながっていきます。


プラズマとは「物質の第4の状態」

物質には固体、液体、気体という状態があります。さらに気体へ大きなエネルギーを与えると、原子や分子の一部が電子とイオンに分かれた「プラズマ」と呼ばれる状態になります。

身近な例では、雷や蛍光灯などにもプラズマが関係しています。

田中准教授が研究しているのは、その中でも「大気圧グロープラズマ」です。プラズマ処理には真空環境を利用する方法もありますが、大気圧の条件で安定したプラズマをつくることができれば、さまざまな材料の処理に利用できる可能性があります。

重要なのは、単にプラズマを発生させることではありません。どの条件なら安定した状態になるのか、プラズマの中でどのような化学反応が起きるのかまで理解する必要があります。


接着しにくい材料の表面を変える

田中准教授が特に力を入れている研究の一つが、プラズマを利用した接着技術です。

たとえばフッ素系樹脂は、耐熱性や耐薬品性など優れた性質を持つ一方、ものが付着しにくいという特徴があります。これは製品によっては大きな長所ですが、別の材料と接着したい場合には課題になります。

そこでプラズマを材料表面へ照射し、表面の化学状態を変化させることで、接着しやすい状態をつくる研究が行われています。

材料全体を別の物質へ変えるのではなく、必要な表面だけに働きかけるという点が、この技術の興味深いところです。


炭素繊維などへの応用も研究

田中准教授は、大気圧グロープラズマを利用した炭素繊維の表面処理などにも取り組んできました。

炭素繊維は軽くて強い材料として知られていますが、実際の製品では樹脂など他の材料と組み合わせて利用することがあります。そのため、それぞれの材料がどのように接するかという「界面」の性質も重要になります。

プラズマによって炭素繊維の表面状態を調整することで、複合材料としての使い方を検討する研究が行われています。

高校では材料そのものの性質に注目することが多いですが、大学では「材料と材料が接する部分で何が起きているのか」も重要な研究テーマになります。


薄い膜をつくる「薄膜堆積」

もう一つの研究テーマが、プラズマを利用した薄膜堆積です。

薄膜とは、材料の表面につくられる非常に薄い膜のことです。表面に別の物質を薄く形成することで、本体の材料を大きく変えずに、新しい性質を加えられる場合があります。

田中准教授は、大気圧グロープラズマによってフッ素系高分子膜などを形成する研究を行ってきました。また、吸湿性を持つ粉体への防湿膜形成なども研究テーマとして扱われています。

「材料そのものを新しくつくる」だけでなく、「今ある材料の表面をどう変えるか」という視点から新しい機能を生み出すことも、材料科学の重要なアプローチです。


製品開発の「困った」を研究テーマにする

田中准教授の公式研究紹介では、研究対象について、製品開発で困難に直面している事例を取り上げ、その解決の糸口として大気圧プラズマを利用できないか検討していることが紹介されています。

つまり、理論だけを研究するのではなく、「この材料は接着しにくい」「この表面に機能を持たせたい」といった具体的な課題を出発点に研究することがあります。

なぜ接着できないのかを材料の化学構造から考え、仮説を立て、プラズマ処理の条件を変えながら実験する。こうした過程には、化学、物理、材料工学など複数の知識が関係します。


物質生命理工学科で材料の表面まで考える

上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを包括的・複合的に学びます。田中准教授の研究テーマは、学科の研究分野の中でも「大気圧グロープラズマによる薄膜堆積・表面改質」として紹介されています。

プラズマそのものを理解するには物理の知識が必要です。一方、材料表面で起きる反応を考えるには化学の知識が必要になります。さらに実際の材料へ応用するには、材料科学や工学の視点も欠かせません。

高校では別々に学んでいる分野が、一つの製品や技術を研究するときには組み合わされていくことが分かります。


推薦入試では「ものづくりが好き」の先へ

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、「ものづくりに興味があります」「材料を研究したいです」というところから、もう少し具体的な疑問へ広げてみましょう。

たとえば、「同じ接着剤でも材料によって付きやすさが違うのはなぜだろう」「材料本体を変えず、表面だけに新しい性質を持たせることはできるのか」「電気を使って物質の表面を変えられるのはなぜだろう」といった問いがあります。

高校生の段階でプラズマ装置を使った経験がある必要はありません。授業や科学部、ものづくりの経験、身近な製品などから疑問を持ち、自分なりに仕組みを調べてみることが研究への入口になります。

田中准教授の研究を知ると、高校で学ぶ電気や気体、化学結合などの知識が、材料表面の改質や接着技術といった実際のものづくりへつながっていることが分かります。普段使っている製品についても、「この材料同士はどうやってくっついているのだろう」と考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。