上智大学 理工学部 物質生命理工学科 教員紹介|鈴木伸洋准教授の植物・環境ストレス研究とは

こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。

今回のテーマは、

「上智大学 理工学部 物質生命理工学科の鈴木伸洋准教授と、植物の環境ストレス応答に関する研究」です。

植物は、暑くなったからといって涼しい場所へ移動したり、雨が降らないからといって別の土地へ逃げたりすることができません。そのため、置かれた環境の中で生き延びるためのさまざまな仕組みを持っています。鈴木伸洋准教授は、植物が高温や乾燥などの環境ストレスを受けたとき、体の中でどのような変化が起こるのかを遺伝子やタンパク質のレベルから研究しています。


鈴木伸洋准教授の専門は植物分子生物学

鈴木准教授は、上智大学 理工学部 物質生命理工学科に所属しています。主な研究テーマは「植物の環境ストレス応答に関する分子生物学的研究」です。

研究キーワードには、植物科学、環境ストレス、シグナルネットワークなどが挙げられています。特に、熱ストレス、乾燥ストレス、複数のストレスが同時に起こる複合ストレスなどに対して、植物がどのように応答するのかを調べています。

高校の生物では、遺伝子やタンパク質、植物の成長などを学びますが、大学では「高温になったときにどの遺伝子が働くのか」「その情報が植物の体内でどう伝わるのか」といった問いへと発展していきます。


植物は熱を「記憶」することがある

鈴木准教授の研究で興味深いテーマの一つが、植物の熱ストレスの記憶です。

2025年度の上智大学理工学部活動報告書では、モデル植物のシロイヌナズナに短時間の熱ストレスを与えると、その情報を記憶し、その後の熱ストレスに対する耐性を獲得する現象について研究していることが紹介されています。

私たちは「記憶」と聞くと脳を思い浮かべます。しかし植物には脳がありません。それでも、一度経験した環境の変化が、その後の反応に影響することがあります。

どのような分子がこの現象に関係しているのかを調べることで、植物が環境変化に適応する仕組みを理解しようとしているのです。


体の一部が受けたストレスを全体へ伝える

植物の環境応答では、「シグナル」が重要な役割を持ちます。シグナルとは、ある場所で起きた変化を別の場所へ伝える情報のことです。

たとえば、植物の一部分だけが高温になった場合でも、その情報が植物体の別の部分へ伝えられ、直接熱を受けていない部位の反応が変化することがあります。

鈴木准教授は、こうした植物体内の情報伝達や、活性酸素などが関係するシグナルネットワークについて研究しています。

高校の生物で学ぶ植物ホルモンや情報伝達の考え方も、大学では複数の分子が関係し合うネットワークとして詳しく研究されます。


一つではなく「複数のストレス」を考える

自然界では、高温だけ、乾燥だけといった一つの条件だけが変化するとは限りません。暑さと乾燥が同時に起こったり、塩害や冠水など別の環境条件が重なったりすることがあります。

鈴木准教授の研究室では、このような複数の環境ストレスが同時に起きたときの植物の応答も研究しています。

一つのストレスに対する仕組みを理解しても、複数の条件が重なると同じ反応になるとは限りません。そのため、それぞれの条件に対する応答を個別に見るだけでなく、複数のシグナルが植物の中でどのように影響し合うのかを考えることが重要です。

現実の自然環境に近い状況を考えるという点でも、複合ストレスの研究には大きな意味があります。


気候変動と植物研究のつながり

上智大学の研究紹介では、地球温暖化の進行に伴って増加する熱ストレスに対し、植物がどのように応答するのかを理解することが研究の背景として示されています。

植物は私たちの食料や自然環境を支える重要な存在です。そのため、高温や乾燥などにさらされたときの反応を理解することは、植物科学だけでなく、変化する環境と生物との関係を考えるうえでも重要です。

ただし、「この研究だけで気候変動や食料問題を解決できる」という単純な話ではありません。まず植物自身が持つ環境適応の仕組みを正確に理解することが、将来のさまざまな研究につながる基礎になります。


海外での研究経験を現在の研究へ

鈴木准教授は、香川大学で学士・修士の学位を取得した後、アメリカのUniversity of Nevada, RenoでPh.D.を取得しています。

その後、University of Nevada, Renoで植物の熱ストレス応答を制御する分子生物学的機構について研究し、University of North Texasでは、環境ストレスへの全身的な応答を制御する活性酸素シグナルなどを研究しました。

2014年から上智大学 理工学部 物質生命理工学科で研究を続け、現在は植物の異なる環境ストレス応答を制御するシグナルネットワークなどに取り組んでいます。


物質生命理工学科で環境と生命を考える

上智大学 理工学部 物質生命理工学科では、物理学、化学、生物学、環境科学、材料工学などを複合的に学びます。

鈴木准教授の研究は、その中でも「環境と生命の関係」を考える研究の一つです。植物が外部環境の変化をどのように受け取り、細胞や遺伝子の働きを変化させるのかを調べることで、生命と環境を一緒に理解していきます。

高校では「植物」「遺伝子」「環境問題」を別々の単元で学ぶことがありますが、大学では一つの研究テーマの中でこれらの知識が結びついていきます。


推薦入試では「植物が好き」の先まで考えよう

上智大学 理工学部 物質生命理工学科の推薦入試を考えている人は、「植物が好きです」「環境問題に興味があります」というところから、自分の疑問をもう一段深くしてみましょう。

たとえば、「猛暑のとき植物の細胞では何が起きているのだろう」「同じ暑さでも枯れる植物と耐えられる植物にはどんな違いがあるのだろう」「植物は一度経験した暑さをどのように次の反応へ生かすのだろう」といった問いを考えられます。

高校生の段階で植物分子生物学の専門知識を持っている必要はありません。授業や探究活動、日常生活で見た植物の変化などをきっかけに疑問を持ち、自分で調べる中で興味を具体化していくことが大切です。

鈴木准教授の研究を知ると、高校で学ぶ遺伝子やタンパク質の知識が、植物の環境適応や気候変動に関わる研究へつながっていることが分かります。身近な植物を見たときにも、「この植物は環境の変化をどう感じているのだろう」と考えてみてください。

もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。

※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。


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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。

この記事を監修した人

川又ヒトミ(KOSSUN教育ラボ プロ講師)

川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師

【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。 プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。 著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。