
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科 辻上奈美江教授とは?中東地域の比較ジェンダー論と地域研究から社会を考える
こんにちは!KOSSUN教育ラボ教務担当(上智大学推薦入試サポート)です。
今回のテーマは、
「辻上奈美江教授の研究と、総合グローバル学科で学べる中東地域の比較ジェンダー論について」です。
上智大学 総合グローバル学部 総合グローバル学科で、中東地域の社会とジェンダーについて研究しているのが辻上奈美江教授です。現在は総合グローバル学部総合グローバル学科の教授で、専門は中東地域の比較ジェンダー論と地域研究です。特にサウジアラビアを中心にフィールドワークを重ねながら、男女間の権力関係や、中東社会におけるジェンダーのあり方を研究しています。
辻上奈美江教授は何を研究している?

辻上教授の研究を理解するうえで重要なのが、「中東の女性」という大きなくくりだけで社会を見ないことです。
ジェンダーとは、生物学的な性別そのものではなく、社会や文化の中でつくられてきた性別による役割や期待などを考える概念です。例えば、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」と考えられていることも、国や地域、時代によって変わります。
辻上教授は、サウジアラビアをはじめとする中東地域で、人々がどのような社会の中で暮らし、ジェンダーをめぐる制度や価値観とどのように向き合っているのかを研究しています。
「中東の女性はかわいそう」と決めつけない
中東の女性について調べると、服装や行動に関する規則などが紹介され、「自由がない」「抑圧されている」といった説明を目にすることがあります。もちろん、女性が直面する制度的・社会的な制約について考えることは重要です。
一方で、中東に暮らす女性たちをすべて同じ立場の人として扱うと、現実の多様性を見落としてしまいます。国や地域によって制度は異なり、年齢や家族、社会的な立場などによっても経験は変わります。
辻上教授は、外部から見たイメージだけで判断するのではなく、できるだけ現地の人々の声に耳を傾けることを大切にしてきました。外から見た社会と、その中で暮らす人が見ている社会の両方を知ることで、一面的ではない理解につなげています。
サウジアラビアをフィールドから考える
辻上教授は、在サウジアラビア日本大使館の専門調査員を務めた経験があり、サウジアラビアを中心に長く研究を続けています。
地域研究では、新聞や統計を読むだけでなく、実際に現地へ行き、人々の話を聞き、その社会で何が起きているのかを調べるフィールドワークも重要な研究方法です。
例えば、法律が変わったというニュースだけでは、その変化を社会の人々がどのように受け止めているのかまでは分かりません。制度が変化しても、家庭や職場、地域社会の価値観が同じ速度で変化するとは限らないからです。
制度と人々の日常生活の両方を見ることで、社会の変化をより立体的に捉えることができます。
ジェンダー問題にも一つの「正解」があるわけではない

ジェンダー平等というテーマについて考えるとき、自分たちが慣れ親しんでいる価値観を基準に、別の社会を判断してしまうことがあります。
辻上教授は、西洋的なジェンダー論だけを唯一の基準として考えるのではなく、それぞれの地域の歴史や社会、人々の声を踏まえて考えることの重要性を示しています。
これは「文化が違うのだから何でも認めればよい」という意味でもありません。人権や格差について考えながら、一方で自分自身の価値観も絶対的なものとして扱わない。その両方を考え続けることが、地域研究の難しさであり面白さでもあります。
「知を相対化する」とはどういうこと?
辻上教授が学生へのメッセージで述べているのが、「知を相対化する」という考え方です。
少し難しい言葉ですが、簡単にいえば、自分が当たり前だと思っている知識や価値観をいったん疑い、別の立場から見直してみることです。
例えば、「男女平等とはこういう状態だ」と考えていたとしても、なぜ自分はそう考えるようになったのでしょうか。学校教育、家庭、SNS、ニュースなど、さまざまなものから影響を受けているはずです。
自分の常識も、特定の社会や時代の中でつくられているかもしれないと気づくことで、異なる文化について考えるときの視野も広がります。
高校生ならSNSやニュースから考えてみよう
辻上教授の研究テーマは、高校生が普段目にしているニュースやSNSともつながっています。
例えば、海外の女性の服装について紹介した投稿を見たとき、「自由か不自由か」だけで判断するのではなく、「本人たちはどのように考えているのだろう」「法律と社会の慣習は同じなのだろうか」「誰の意見が紹介されているのだろう」と考えてみることができます。
同じ出来事でも、日本の報道、海外メディア、現地の人によるSNS投稿では見え方が異なることがあります。情報源を比較することで、「自分はどの情報からその地域のイメージをつくっていたのか」に気づくこともあるでしょう。
辻上教授のゼミでは中東・北アフリカの「常識」を問い直す
現在、辻上教授は「中東・アフリカ研究A」のゼミを担当しています。ゼミでは、中東・北アフリカ地域のジェンダー問題を中心に、社会、経済、政治など幅広いテーマについて考察・議論しています。
特徴は、その地域について語られてきた「常識」をそのまま受け入れず、批判的に見直していくことです。
中東について「宗教の影響が強い地域」「女性の自由が制限されている地域」といった大きなイメージだけで理解するのではなく、そのイメージはどこから生まれたのか、地域の内部にはどのような違いがあるのかまで考えていきます。
総合グローバル学科の中東・アフリカ研究とどうつながる?
辻上教授は、総合グローバル学部の中東・アフリカ研究領域を担当しています。
総合グローバル学科では、世界規模で広がるジェンダーや人権などの問題を考えるだけでなく、それが具体的な国や地域でどのように現れているのかも学びます。
「世界ではジェンダー平等が求められている」という大きな視点と、「サウジアラビアでは人々がどのように考え、生活しているのか」という地域の視点を行き来することで、問題をより深く理解できるようになります。
推薦入試では自分の固定観念にも目を向けてみよう

推薦入試を考えている高校生も、辻上教授の研究テーマに自分の関心を合わせる必要はありません。教授の研究を知ることで、自分が社会問題をどのような視点から見ているのかを考えるきっかけにできます。
例えば、ジェンダー問題に興味があるなら、「男女平等を実現したい」で終わるのではなく、「自分が考えている平等とは何だろう」「国や文化が違えば考え方はどう変わるのだろう」「当事者自身は何を求めているのだろう」と問いを広げてみてください。
自分とは異なる立場の情報も調べながら考えることで、大学でさらに研究してみたいテーマが具体的になっていきます。
辻上奈美江教授の研究から世界を見る視点を広げよう
辻上奈美江教授の研究を知ると、中東やジェンダーについて考えるとき、外部からつくられたイメージだけでは見えないものがあることが分かります。
海外ニュースを見たとき、「この地域ではこうなのだ」とすぐに結論を出すのではなく、現地にはどのような人々がいて、どのような異なる考え方があるのかまで調べてみてください。そして、自分自身が持っていた「当たり前」も問い直してみることで、地域研究の面白さが見えてくるでしょう。
もし一人で整理するのが難しいと感じたら、KOSSUN教育ラボの無料個別相談も活用してみてください。
※本記事は、記事作成時点で上智大学公式サイト等に掲載されている情報を確認したうえで作成しています。入試制度、出願資格、試験内容、日程、カリキュラム、教員の所属・研究分野などは変更される場合があります。受験を検討している方は、必ず上智大学公式サイトおよび対象年度の最新の入学試験要項をご自身で確認してください。
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※この記事は専門家による監修のもと執筆されています。
この記事を監修した人
川又 ヒトミ(かわまた・ひとみ)
KOSSUN教育ラボ プロ講師
【略歴】
お茶の水女子大学卒業後、私立高校に入職。進路指導部長を務め、大学入試改革や新学習指導要領、ギガスクール構想など変化する教育現場にて指揮を執る。
プロ講師に転向後は、上智大学をはじめ、難関大学に毎年多数の合格者を輩出。最新情報を駆使した戦略的な指導に定評がある。塾生はもちろん、保護者、講師からも一目置かれ、「合格請負人」の異名を取る人気講師として知られる。
著書に『総合型選抜・推薦型選抜で「凡人」が難関大に合格る本』(ビジネス実用社)。


